« NHK問題どんどん変に・・・? | トップページ | 追悼ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス »

2005年1月16日 (日)

FMの感想「イ・カプレーティ」

20050116SalzburgJPオペラの話です。
NHK FMを留守録していたベッリーニの「イ・カプレーティ」(カプレーティ家とモンテッキ家)、ようやく聞けました。昨年のザルツブルク音楽祭でコンサート形式で行われたもの。出演はネトレプコ、バルチェッローナと噂のテノール、カリェーハ(どうカタカナ表記ればいいのか分からないので、とりあえずFM Clubに従っておきます)。

この作品はムーティ盤が決定盤のように評価されているようですが、私はグルベローヴァのイタリア・オペラが大嫌い、バルツァにいたってはイタリア・オペラに限らずとも嫌いなので、まったく聞く気になれません(というかもう手離してしまったので、どっちみち聞けませんが)。ビヴァリー・シルズとジャネット・ベイカーの録音もありますが、ベイカーは大好きでもシルズはいまひとつ乗れなくて・・・

で、かなり興味をもって聞いたわけです。バルチェッローナが良いのは分かりきってるので(もしかすると人によってはこれはベッリーニではなくロッシーニの様式だと言う人が出てくるかも)、興味の焦点はやはりネトレプコのジュリエッタ。

うまいし、魅力的だし、なによりもイタリア・オペラになっているのはグッド。グルベローヴァとかかつてのステューダーとかの歌い方は、フレーズを微細に分断・分析しリアライズしていくという――ドイツ・オペラには非常に有効な、しかしイタリア・オペラに適用した場合は、違和感をぬぐえない――やりかた。メロディー・ラインこそが命のイタリア・オペラなのに、剛毅なはずの旋律線がなよなよとしたものになってしまうのが致命的と感じられます。

そうしたやり方に染まっていないので、ネトレプコの歌、かなり気持ち良く聴けました。そうとう感心したのですが、ただ真に一流のベルカント歌いとは、いまだ距離があるのでしょうか。1幕のアリアで一瞬しくじったのはご愛嬌としても、最高音域での音色の美しさという点で、過去の偉大なベルカント歌手たちとは一線を画す感じ。

カバリエもデヴィーアも高音域は天国的な美しさを誇っていました。カバリエの魅惑のピアニシモは誰もが知っている通りだし、デヴィーアもヘヴンリー・ヴォイスと呼ばれたほど(もっともそれが聞けたのは90年代の前半までで、すでにそれらは失われてしまいましたが)。

そうした天使のような音色の超高音をもたないネトレプコはカバリエ、デヴィーア、エヴァ・メイと続いたベルカントの女王の座を受け継ぐというのではなく、いずれ違う方向に進みそうな予感です。フレーニのように完全にプレ・ヴェルディには不向きというのではないし、現時点では声がヴェルディ、プッチーニにはリリック過ぎるので、いずれにせよ今はこの手のレパートリーにならざるをえないのでしょうが。

ネトレプコの新しいアリア集のバックをつとめたクラウディオ・アバドは、当初ベルカント・アリア集として企画されたものに、あえて「オテロ」と「ジャンニ・スキッキ」のアリアを加えるように提案したということですが(アバド初のプッチーニ?)、慧眼だと思います。

写真はザルツブルク旧市街の俯瞰。

|

« NHK問題どんどん変に・・・? | トップページ | 追悼ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/71167/2586366

この記事へのトラックバック一覧です: FMの感想「イ・カプレーティ」:

» [CD]オペラ『ノルマ』 [LE JOURNAL DE OSAMU HAYASHI]
スロヴァキア人ソプラノ歌手エディタ・グルベローヴァがタイトルロールを歌ったベッリ [続きを読む]

受信: 2005年4月10日 (日) 11:27

« NHK問題どんどん変に・・・? | トップページ | 追悼ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス »