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2005年1月17日 (月)

追悼ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス

20050117barcelonaJP20世紀後半の最も偉大なソプラノ歌手の一人、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスが亡くなった。享年81歳。

ロス・アンヘレスはスペインのカタルーニャ出身。マリア・カラスや先日亡くなったレナータ・テバルディらと同時代に活躍した歌い手だが、全ての面で恵まれた資質を持った歌手だった。美しく豊かな声、優れた歌唱技術、的確な様式感と表現力、温かみのあるフィーリング、誰からも好かれる人柄、イタリア、フランス・オペラはもちろんモーツァルトからワグナーまでこなす広いレパートリー。ロス・アンヘレスの評価グラフは真円に近かったと言える。カラスがその霊感に満ち満ちた強烈な劇的演唱のために、他のすべてを――声の美しささえも――犠牲にしたのに比べると、実に対照的だ。無論人並み以上の努力はあっただろうが、自分の望む音楽を実現することと、才能を伸び伸びと開花させることとが一致した(と思える)ロス・アンヘレスは、まれにみる幸福な歌手だったのかもしれない。

私は80年代の後半に一度だけ彼女のリサイタルを聞いている。前半にはシューマンのメアリ・ステュアートなどドイツ物を、後半にはギターの弾き語りを含むスペイン物(彼女の十八番)をおいたプログラムで、既にディテイルは覚えていないが、ただその類まれな感動だけは今も忘れることは出来ない。名前のアンヘレスとはスペイン語で天使のこと。多くの聴衆や指揮者たちから愛された彼女は、天使のビクトリアと呼ばれていたという。

写真は彼女が愛したバルセロナの街。サグラダ・ファミリアの塔からながめた風景。
謹んでご冥福をお祈りします。

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コメント

私のようなものでもお名前は存じ上げているのですが、CDとかでも歌声は聴いたことがないのではないかとおもいます。カラスやテバルディは録音を聴いているのにどうしてかとちょっと不思議なかんじです。
15日のマドリードのTeatro Realの「セビリアの理髪師」の公演は、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスに捧げたそうです。スペイン語ですので詳細はわかりませんが・・・
http://www.mundoclasico.com/noticias/vernoticia.aspx?id=d95e9a38-153d-4620-affe-9a5024ba5cda

ところで、サグラダ・ファミリアは完成してたんですか。

投稿: keyaki | 2005年1月17日 (月) 09:22

うわ、凄い顔ぶれですね。バーヨがロジーナを歌ったんですか。バーヨこそまさにロス・アンヘレスの後継者とも言うべき人ですから、追悼公演にはふさわしいキャストでしたね。

ロス・アンヘレスの録音ではショーソンの「愛と海の詩」と「オーヴェルニュの歌」の抜粋を組み合わせたものなんかが、最初の1枚としてはぴったりかも。(CDで再編集されてなければ。)

サグラダ・ファミリアは何年も前の写真ですが、完成してませんでした。でも途中までリフトで、そのあとは階段で上の方まで行けます。なお高所恐怖症の方は絶対にダメです。

投稿: TARO | 2005年1月17日 (月) 12:33

TAROさん、弊Blogへの書き込みありがとうございます。いつもお世話になっております。
TAROさんはロス・アンヘレス女史のリサイタルをお聴きになられたのですね。遅れてきたファンである私としては本当にうらやましいです。
曲目から察するに、1986年4月のリサイタルでしょうか?ライヴ録音のCD(Camerata)を持っております。私も生で聴きたかった……とはいえこの時はまだ幼稚園児でしたが。

たいへん遅ればせながら、こっそりトラックバックさせていただきました。

投稿: ユルシュール | 2005年3月21日 (月) 09:09

あ、そうです。ライヴがCDになっているリサイタルです。

フランコ将軍が死んでスペインの独裁政治が終わり、10年たったぐらいの時期だったと思います。
カタルーニャ自治政府の代表の方もコンサートにいらして、なにかセレモニーがあったような記憶が。

投稿: TARO | 2005年3月21日 (月) 15:39

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ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス女史が亡くなられました。http://www.sankei.co.jp/news/050116/bun002.htmhttp://www.topics.or.jp/Gnews/news.php?id=CN2005011501003875 [続きを読む]

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