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2005年3月20日 (日)

America

20050320americaJP「猫の目農政」という言葉があった。くるくる変わる国の農業政策を揶揄した言葉。
教育についても言えはしないだろうか?子供たちの知力の向上について、国はどういう方針で臨んでいるのだろう。なんだかさっぱり分からない。
昔円周率を『3.14』ではなく『3』で教えることになって、さすがにそれは批判の嵐ですぐに撤回されたが、今度は逆にゆとり教育を見直すとかなんだとか、何がどうなっているのやら。

前に子供向けの科学番組を担当してた時、私はよく一緒に仕事をするスタッフから、そこまで説明しなくてもとか、そこは分からなくてもいいんじゃないですかとか、言われることがあった。

これは私の悪い癖で、確かに子供たちは理解できないものには興味を示さないし、TVなのだから誰にでも分かる範囲でおさめるべきなのだ。だからこれはTVの話と言うことではなく、あくまでも一般論としてということなのだが、子供たちの潜在能力はものすごく高いと思う。

たとえば暗記。戦後教育の中で暗記という行為は、なにかすごく虚しい作業のように考えられてきたと思うが、しかし頭の柔らかい子供のうちに暗記しなかったら、いつやるのだろうと思う。円周率だって3.141592ぐらいまでは小学校で教えるべきだと思う。覚えられない人が3.14で止めておけばいいのだ。実際私は子供時代に普通に覚えたこの数字を、今も忘れていない。私はクリスチャンではないが、新約聖書の『アブラハム、イサクを生み、イサク、ヤコブを生み、ヤコブ、ユダとその兄弟らを生み(以下略)』というのも覚えてみたりした。なんか面白そうだったので。

それに私は子供のころ、学校の先生も含めて大人の説明というものが、いつも中途半端なことにかなり不満をいだいてきた。先生に追求すればいいのだが、私は質問をしない子だったので、ひたすら不満だけが蓄積していたのである。

たとえば「アメリカ」という国の名前の由来。これはアメリゴ・ヴェスプッチの名前を取って「アメリカ」となったのである。――という説明は誰でも知ってると思うし、小学校か中学校のどちらかで教えると思う。

「だから~、なんでアメリがアメリになるの?」と、あなたは思わなかっただろうか。
私は思った。でも質問できない子だったし、他の人も別に誰も不思議に思わずにそのまま素通りするので、分からないのは自分だけなんだと思って、そのまま不満の池に放り込んで終わりにしたのだった。

ようやくそれが判ったのは大学に入ってラテン語の授業をとったときだった。アメリゴ・ヴェスプッチはイタリア人だが、昔は公文書はラテン語で書かれることが多く、その場合ラテン名で署名がなされた。アメリゴのラテン形はアメリクス Americus なので、そこに(正しく言うと語幹のAmericに)ラテン語の場所を表す語尾の –a がついて America となった。小学生の不満は十年越しでようやく解消されたわけである。
(※ ちなみにアフリカの場合はアメリカとは違って、-ica が語尾。)

小学生にラテン語の文法を教えろとは言わない。しかし「大昔のイタリアやスペインではラテン語という言葉を使ってて、それはイタリア語やスペイン語、フランス語などの先祖である。このラテン語は日常会話では使われなくなったものの、キリスト教関係や公の書類・論文などではずっとつかわれてきた。アメリゴ・ヴェスプッチの場合は――」ぐらいのことは教えてもいいと思う。
「アメリカという名前はアメリゴに由来します」で終わりにするよりは、ずっと判りやすいと思うのだ。

繰り返すが子供の潜在能力は高い。大人の浅はかさで調整しないで、可能なギリギリまで与えるべきだと思う。

写真:America

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コメント

>小学生の不満は十年越しでようやく解消
こういうこと多々ありますね。大概の場合、なんで?と思ってもすぐには質問とかしないものなのかもしれません。そんなことしてたら質問ばかりしていなくちゃならないことになるってわけで、本能的に回避するような気がします^^;とりあえず保留というか・・(人生は短いから?^^?)

どこまで教えるかって、本当に難しいと思います。
でも、相手の能力をあなどって、いい加減に教えるのは許せませんね!
またあのエレクトラを放送したN響アワーですが、エレクトラに関する解説?!ひどいものでした!( ̄0 ̄)o>

投稿: edc | 2005年3月20日 (日) 08:42

確かに子供たちにどこまで教えるかというのは、難しい問題ですよね。微妙なのは承知の上で、ちょっと書いてみたんですが。
でも「カロリング朝」とか「メロヴィング朝」とか言われても、「だからチョーって何よ」と思いませんでした?

>あのエレクトラを放送したN響アワー

N響アワーだったんですか。じゃあ、池辺センセの解説ですよね。いったいどんなものだったんでしょう?

投稿: TARO | 2005年3月20日 (日) 14:30

>チョーって何よ
王朝だってのはすぐわかったように思いますけど、王朝とか朝廷とか、なんで「朝」なの〜〜??ってのは当分解決しませんでしたねぇ^^; いつごろだったかしら??なんで「朝」かわかったのは????

>池辺センセ
あの方が高名な池辺晋一郎さんだとは、知りませんでしたm(_ _)m 詳細はのちほどブログに載せます・・・

投稿: | 2005年3月20日 (日) 17:42

フィレンツェの空港が「アメリゴ・ベスプッチ」空港ですよね

投稿: Esclarmonde | 2005年3月20日 (日) 22:26

>euridiceさん

他にも色々ありませんでした?皇帝と王とはどこが違うのかとか(それに天皇と天子とか)、神聖ローマ帝国にはなんで神聖がつくのかとか、アケメネス(朝ペルシャ)とかカメハメハ(大王)とかいう名前をなぜに先生は笑わずに言えるのかとか。

>Esclarmondeさん

あ、そうなんですか。フィレンツェ空港を利用したことが無かったので、知りませんでした。よく考えてみるとアメリゴ・ヴェスプッチはフィレンツェが生んだ最も無難な有名人ですものね。

投稿: TARO | 2005年3月21日 (月) 00:24

考えれば、山ほどあるでしょうね〜〜
>天皇と天子
未だにわかりませ〜〜ん。中国のが天使じゃない天子で、日本のが天皇としか・・・
>神聖ローマ帝国
なんで神聖でしたっけ?? 聞いたことがあるような気がしますけど、忘れました。
etc.etc.etc.

投稿: edc | 2005年3月21日 (月) 00:57

>神聖

「キリスト教を戴いた」という程度の意味だったと思います。全然深い意味はなかったように記憶してますが・・・

投稿: TARO | 2005年3月21日 (月) 02:38

RAROさん
ありがとうございます。皇帝と教皇が世界の中心(あたかも楕円形の中心のように)ってことだとか・・歴史の先生が言ってたような・・・

投稿: edc | 2005年3月21日 (月) 08:37

あらら、RAROさんなんて、失礼しました。
ついでに、ローマ教皇ですが、一般にはやはりローマ法王なんですよね。今カトリック教会がなんと言っているのか自信ないです。かなり前から何かとずいぶん歩みよってますから。イエスじゃなくてイエズスとかね。これはもう歩みより済みで、イエスって言ってると思います。

投稿: edc | 2005年3月21日 (月) 20:45

いえいえ、お気遣い無く。名前なんてわかればいいので。

>イエスじゃなくてイエズスとかね

あらま。カトリック教会は昔はそうだったんですか。ラテン語形を使わないといけなかったということですね?
もしかして呼びかけの時はちゃんと呼格にして「イェス・クリステ」とか言ってたんでしょうか?

投稿: TARO | 2005年3月22日 (火) 00:47

>呼びかけの時はちゃんと呼格にして
そこまではまさかね^^; でも、いつごろまでだったかな?
ミサは説教と一部の聖歌、聖書の朗読以外はラテン語でやってました。司祭も会衆に背を向けて。儀式的にはより美しかったと思います。

投稿: edc | 2005年3月22日 (火) 08:30

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