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2005年11月26日 (土)

追悼ジェイムズ・キング

20051126KingJP事情でPCがつかえず(正確にはLANがつかえず)、更新を休んでいましたが、その間に悲しいニュースが入っていました。

テノールのジェイムズ・キングが逝去されたそうです。
亡くなったのは20日で、詳しくはこちらを。

キングの歌を録音で初めて聞いたのは、多分高校生のころバーンスタインの「大地の歌」だったと思います。フィッシャー=ディースカウが上手いのは当然としても、F=Dとは対照的な情熱的な歌に魅了されました。といっても勿論イタリア・オペラの情熱ではなく、もっと暗く地の底から湧いてくるような・・・。
しばらくの間キングは私の最も好きなテノール歌手でした。

「大地の歌」の後は、ベームの「フィデリオ」とか、ショルティの「ワルキューレ」とか、クーベリックの「ローエングリン」とか、ブレーズの「パルジファル」とか、パタネーの「蝶々夫人」とか。

実際のオペラの舞台に初めて接したのは、ベームとの来日公演の「アリアドネ」バッカスと、同じ時の「エレクトラ」(クロブチャール指揮)のエギスト。
その後ハンブルク来日時の「影のない女」(ドホナーニ指揮)の皇帝。ほかにも聞いてるかもしれません。

テノールの場合、『スクエアなんだけど熱い』(?)みたいな歌い手が私の好みなんですが、キングはまさにぴったり。
バーンスタインとの「トリスタン」が計画されながら、実現せずに終わったのはかえすがえすも残念なことでした。(ウィーン国立歌劇場でヴィスコンティ演出、リゲンツァ、キング出演の新演出上演のはずだったが、バーンスタインが1年間の休暇をとるということでキャンセル。ウィーンがその代わりにエヴァーディングとカルロス・クライバーによるプロダクションを出したのは、ご存知の通りです。)

何年前でしたか、METのガラ・コンサートにちらっと姿を見せてましたが、「ずいぶん老けたなあ」と思った記憶があります。
ご冥福をお祈りいたします。
昨年から、プライとかロス=アンヘレスとかカップッチッリとか、私が特別に好きな歌手が次々と死去していきます。なんだかちょっと・・・

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コメント

私もオペラ・レコードを聴き始めたのは70年代でしたから、当時ヘルデン・テノールの現役トップ級というイメージだったキングを舞台で初めて聴いたときは感慨がありました。83年にヴィーンで「アリアドネ」でした。まだまだ立派な声でした。あと84年のハンブルク来日での「影なき女」の計2回だけが私が接することの出来た彼の実演でした。
「スクエアなんだけど熱い」彼みたいなタイプのテノールは、残念ながら、現役を退き亡くなってしまうと忘れられる一方かも知れません。

投稿: 助六 | 2005年11月27日 (日) 10:06

助六さんも、やはり「アリアドネ」「影のない女」、お聞きになってらっしゃるんですね。80年代に入ると、さすがにジークムントやパルシファルともいかなかったのでしょうか、ワグナーよりもシュトラウスがメインになってたんでしょうね。

バリトン出身ということもあって、ちょっと暗めの音色で歌われるジークムントは、録音で聞く限りは実に適役で、出来れば生で聞いてみたかったものですが・・・

>彼みたいなタイプのテノールは、残念ながら、現役を退き亡くなってしまうと忘れられる一方かも知れません。

やはりそうなんでしょうかねえ・・・。まあ、キングは例外的なほどに録音には恵まれた歌手だったので、(特にベーム指揮による)いくつもの全曲盤は、ずっと聞き継がれていくだろうと思いますが。

投稿: TARO | 2005年11月27日 (日) 14:01

>ちょっと暗めの音色で歌われるジークムント

ジークムントは、やはり暗めの音色のテノールが相応しいですね。彼のジークムントは男らしさと優しさがあって良いですね。今シーズン、シャトレが「指環」をやっていますが(指揮も歌も今一つ、エッシェンバッハはマーラー・ベルリオーズ等で大演奏に接しているのでそれなりに期待してたのですが)、ジークムントのザイフェルトは、全ての音符をきちんと出しディクションも立派で健闘賞ものなのですが、音色が大変明るいのに最後まで引っ掛かってしまいました。無いものねだりかなぁ。元モーツァルト・テノールですしね。

キングは、パリでも70年代を中心にパルジファル、マンリーコ、皇帝などを歌っているらしいのですが、古手のファンからも思い出話を聞かされたことはありませんし、仏紙も唯一ルモンド(http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3382,36-713872@51-713967,0.html)が事務的経歴紹介記事を出しただけです。ちょっと寂しく思い仏ディスク・ガイドの類をひっくり返してみましたが、やはりジークムント、フロレスタンの評価は高いですね。ローエングリン、パルジファルには辛口の評言もありましたけど。
独紙を検索してみたら、こちらはさすがに大きなエモーションを伴った記事を出していて安心しました。「ヴェルト」(http://www.welt.de/data/2005/11/24/807872.html)が「舞台の貴族。男らしさの中に潜む柔らかな男性的優美」とか、ベルリンの「ターゲスシュピーゲル」(http://archiv.tagesspiegel.de/archiv/23.11.2005/2191787.asp)が「単に輝かしいテノールというだけでなく、彼の声の内にはいつも涙が震えていた」とか、やっぱり分かってるね。

投稿: 助六 | 2005年11月28日 (月) 08:25

助六さん

んー、ザイフェルトの音色、明るいですものね。
特に私は「ドン・ジョヴァンニ」のドン・オッターヴィオとか「アラベラ」のマッテオとか、『真面目で本人は真剣にやってるのに、なぜかかなりお間抜け』キャラのザイフェルトが好きなので、生まれながらに悲劇を背負ってるような役って、なんだか想像つかないです。

>やっぱり分かってるね。

そうですねえ、さすがドイツの新聞!
そういえばターゲスシュピーゲルの記事で思い出しましたが、フリードリヒ演出の「死の都」の映像。これ全盛期を過ぎたキングが新たに開拓したレパートリーだったんだろうと思いますが、ぴったりの適役でした。あえてラストを変更した悲劇的な結末も、キングによって演じられると実に納得です。

投稿: TARO | 2005年11月28日 (月) 16:15

初めまして。キングの死を昨日知り、またひとつ時代が終わった感慨を抱き、自分の拙プログに書きました。貴プログを拝見し、激しく同意しました。アリアドネは逃しましたが、ハンブルグの「影のない女」は、私は「ローベルト・シェンク」だったです。ですから生キングが体験できず残念至極であります。

投稿: yokochan | 2005年11月30日 (水) 22:51

yokochanさん、はじめまして。
コメントありがとうございました。

さっそくブログにおじゃまいたしました。(ついでにTBもさせていただきました。よろしくお願いします)
音楽と酒と食がテーマなんですね。

ハンブルクのはシェンクも歌っていたんですか。シェンクはシェンクで価値ある体験だとは思いますが、生キングが体験できなかったというのは残念なことでしたね。
この続きは、yokochanさんのブログの方へのコメントで。

投稿: TARO | 2005年12月 1日 (木) 00:28

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