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2007年5月28日 (月)

カンヌ閉幕、河瀬直美作品にグランプリ!

20070528cannesjpZARDの坂井さんで驚いていたら、今度は松岡農水相。いったいどうなっちゃってるんでしょうか。

* * * * *

さてカンヌ映画祭は現時時間の昨日閉幕し、ルーマニアのクリスティアン・ムンジウ監督の「4カ月、3週間と2日」に最高賞のパルムドールが贈られました。

いわば次席にあたる審査員特別グランプリは日本の河瀬直美監督の「殯の森」に。『殯』はここではアラキじゃなくて『もがり』と読んで、意味は三省堂によれば

殯・・・貴人が死んでから本葬するまでの間、遺体を仮に納めて置いたこと。また、その場所。

映画の内容は、緑豊かな奈良県の山間地にある認知症の人たちのグループホームを舞台に、亡き妻の思い出を心にしまいこんで生きる認知症の老人と、あらたにやってきた介護福祉士の女性との心の触れ合いのお話。見てないのでハッキリとは分かりませんが、単純に「感動のふれあいを描く」みたいな感じでもないようです。

日本では6月から全国で順次公開予定ということです(東京では6月23日から渋谷のシネマ・アンジェリカで)。今のところ仙台での上映予定ははいってませんが、今回の受賞効果で上映されるかも。

映画の公式HPがこちらにありますので、詳しく知りたい方はどうぞ。

河瀬さんは(瀬の字は本当は難しい方の瀬、頁じゃなくて刀の下に貝)1969年5月30日生まれ、奈良県出身。
自主映画で注目を集めた後、1997年に劇場映画としてのデビュー作「萌の朱雀」でカンヌ映画祭カメラドール(新人監督に与えられる賞)を受賞。
2000年の「火垂(ほたる)」はロカルノ国際映画祭とブエノスアイレス国際映画祭で受賞。
カンヌ映画祭側としては今回のグランプリ授賞で、カメラドールに選んだ10年前の鑑識眼の確かさを証明できたということにもなりそうです。

読売新聞によれば、
『映画祭事務局からは事前に、いずれかの賞を受賞すると告げられていた。授賞式で各賞が次々と発表される中、名前が呼ばれないまま、最後にグランプリとパルムドールが残った。「何かの間違いかと思った。ドキドキしすぎて疲れました」と目を潤ませた。』
とのこと。

それでカンヌでの喜びの河瀬監督の写真なんですが、こちらです
だ、、だ、大胆なドレスだ・・・。

なおパルムドールを受賞したクリスティアン・ムンギウ監督という人は、オールシネマ・オンラインにもデータがないので、どんな方なのか分かりませんでした。

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コメント

河瀬作品は、日曜の授賞発表前日、最終日土曜日の上映でしたから、下馬評にもまるで昇っていませんでした。やはり初日・最終日の上映作品は不利と言われ、出品者は皆嫌がり権謀術数があると言われます。

プレスの下馬評は、ムンジウ、アキン(トルコ系ドイツ人監督)、コーエン、シュナーベルで、フリアーズが審査委員長だから「社会派」映画ムンギウ、アキンが可能性大というものでしたが、コーエン以外はみんな何らかの賞をもらったから、批評家連中も一応満足のよう。コーエン作品は彼らのここ数本の作品に比して群を抜いた出来の「復帰」作品と言われたから、賞なしは気の毒かも知れないにしても、もう賞なんか要らない人だから、河瀬のために道を開けさせたのは一つの見識でしょう。

河瀬作品は、仏評を総合すると「恐ろしく退屈だが、評価する人は評価するだろう」といったタイプの映画みたい。

審査員をやったことのある批評家の言では、当日受賞者には賞の名前は告げないが、今日は帰らずに会場に来てくれと知らせるんだそうです。
映画記者は、入口に詰めて見張っているから、誰が来たか、スタッフ全員か、俳優だけか等で大体賞は分かってしまい、ラジオ番組等で予測がコメントされます。99年には、北野の「菊次郎の夏」がパルムドール有力候補の一つとされ、北野が会場に入らなかったことが分かった後でさえ、「彼はまだカンヌ近傍に居るから、受賞可能性は除外できない」なんてコメントさえ出てましたねぇ。99年は結局ダルデンヌ兄弟がパルムドールで、クローネンバーグ委員長の個性的授賞結果(ラディカルである種の一貫性はあると一定の理解を示す批評家が多かった)が物議を醸した年でしたが。
河瀬チームは全員で会場に入ったから、脚本賞・審査員賞・演出賞辺りと予測され、グランプリはやはり予想外だったようですね。「(意見が二分して合意できなかったがための)妥協的グランプリ」なんてコメントも出てましたが、2番目の賞で、「演出賞」と並んで玄人ウケする作品が取ることが多いと言われてる賞だから、彼女には幸いでした。

ムンジウ作品はチャウシェスク体制下での禁止されていた中絶を扱ったもので、物語性・娯楽性も充分とか。
監督は68年生まれの39歳。89年12月のチャウシェスク体制崩壊後の「ポスト12月運動」映画作家の一人とされてるそうです。地元大学で英米文学を学んだ後、ブカレストの映画学校へ行き、94年まで教師やジャーナリストで食ってたらしい。その後ルーマニアで撮影されたタヴェルニエ作品など外国映画の助手を務め、最初の長編「西洋」が、既に02年カンヌの「監督週間」部門に拾われてるそうです。
ルーマニアは今も仏語が良く通じると言うけれど、彼は滑らかな英語で挨拶してましたね。
ルーマニアというと歌手はワンサカ出てくるけど(体操並のエリート集中教育システムがあったとかで、ゲオルギューもその産物らしい。)、映画は事実上ピンティリエしか知られてなかったから、興味引かれますね。

投稿: 助六 | 2007年6月 4日 (月) 12:58

助六さん

カンヌの裏事情、ありがとうございます。
コーエン兄弟の作品、そんなに出来が良かったんですか。先日のオムニバスの1篇を除けばもう何年も見てないんですが、気になりますね。独自の世界を確立した代わりに「ミラーズ・クロッシング」や「バートン・フィンク」の頃の緊張感を失って久しいと思い、ずっと関心ももてなくなっていました。

>「恐ろしく退屈だが、評価する人は評価するだろう」

こ、これはまた・・・。河瀬監督は日本に帰ってきて、「日本の美しさが評価された」などと、これまたいかにも日本人らしい謙虚なコメントをしてましたね。
今回の受賞作品、NHKが制作に関係していて、劇場公開より一足先にハイヴィジョンで放送されるんだそうです。

ムンジウ作品、面白そうですね。その内容だから、このタイトルなんですね。
ルーマニアの映画界なんて想像もつきませんが、体操やクラシック音楽と違って思想が直截的な形で表現されるわけですから、チャウシェスク時代は色々と厳しいものがあったことでしょうね。ムンジウ監督は壁が壊れた時は21歳ですか・・・

投稿: TARO | 2007年6月 5日 (火) 01:38

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» グランプリ受賞の河瀬監督「ドキドキしすぎて疲れました。」 [WOWOWカンヌ国際映画祭ブログ]
「殯(もがり)の森」囲み取材時間:現地5月27日 21:30頃場所:パレ内、記者会見場前 Q:受賞の気持ちをお聞かせ下さい。A:早くこの喜びを、日本のみなさんに伝えたいです。 Q:授賞式の会場で発表を待つ時の気持ちはどうでしたか?A:ドキドキしすぎて疲れました。最初に何か賞があると聞かされていたけど(ほかの賞が呼ばれていくにあたって)グランプリとパルム・ドールしかなくなっていたので何かの間違いかと思って…。 Q:最後に名前が呼ばれなくて(パルム・ドールではなくて)残念でしたか?A:あります。(... [続きを読む]

受信: 2007年5月28日 (月) 16:55

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