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2011年7月12日 (火)

レオナルド・ダ・ヴィンチの幻の絵画!

20110712 イタリア・ルネサンス期の巨匠レオナルド・ダビンチが1500年ごろ制作、一時期英国王が所有後、行方不明になったとされていた油絵「サルバトール・ムンディ」(救世主)が米ニューヨークで発見され、英ロンドンのナショナルギャラリーで11月からの展示が決まった。
(共同通信

作品はこちらです 

AFP通信にはより詳しい情報が載っていて、

筆遣いと使用された絵の具から、ダ・ヴィンチの作品であることが特定された。(中略)
英オックスフォード大学(University of Oxford)のマーティン・ケンプ(Martin Kemp)名誉教授(美術史)は、「このような絵を描いた弟子はいないし、ダ・ヴィンチの追随者たちの中にもいない」と語る。「レオナルドの新しい絵だ、センセーショナルだよ。初公開がロンドンで行われるのは喜ばしい」

AFP BBNews

1500年頃といいますと、「最後の晩餐」と「モナリザ」のちょうど間の時期ということになります。
1499年にミラノが陥落し、ルドヴィコ・イル・モロが逃亡。レオナルドはミラノにとどまりますが、翌1500年にはマントヴァに移り、ついでヴェネツィア、さらにフィレンツェに戻るという旅の時代を過ごし、さらに1502年にはチェーザレ・ボルジアのもとで軍事顧問として活動する。レオナルドにとっても激動の時代にあたります。

レオナルド最盛期に描かれた作品というわけですが、160億円(2億ドル)の売買価格も取り沙汰されたとのこと。

で、これは本当に真筆なのでしょうか?
オックスフォードの名誉教授が断言してるのですから、これ以上の保証はないような気もしますが…。果たしてどこから出てきたのか、ちゃんと洗浄されてるのかなど、詳細が判らないのではっきりしたことは言えませんが、私はこれは贋作じゃないかと思います。

理由は眼と鼻があまりにもモナリザ(のモデル)と似ていること。この時期のレオナルドなら背景が真っ黒というのは考えにくいこと。左手に持つ球体が平面的なことの三つです。

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コメント

大変気になるニュースですね。
報道や所有者代表が出したリリースを見てみましたが、つかみどころがない感じ。
一番信頼できそうなロンドンのNGが11日に出したというリリースはまだNGサイトにも出てませんし、報道に引用されてる部分を見る限りでは、真作と判断される根拠についての説明はないですね。

報道で引かれてる専門家が、匿名だったり、コメント拒否だったり、何か言ってても漠然とした寝ボケたような言葉ばかりなのも気になりますが、やはり真贋論は自分の美術史家としての評判に関わったり、金銭的利益も絡むから慎重になるということでしょうか。

私もド素人としての寝言第一印象は「レオナルドじゃなさそう」というものでした。当該作が1958年にロンドンのサザビーで45ポンドで落札された時はボルトラッフィオに帰されてたそうですが、そのボルトラッフィオ、ルイーニ、ソラーリオとかレオナルド周辺を瞬間思い浮かべました。

背景の黒は確かに引っかかりますが、版画やコピーもそうなってるようだし、持物などから言っても、注文主の意向もあり、習慣的イコノグラフィーに従ったということかも知れません。主題の終末論的側面を重視したレオナルドが「洗礼者ヨハネ」同様確信的に黒背景を採用したこともありうるかも。

レオナルドの「サルヴァトール・ムンディ」の存在自体は、準備スケッチ2点や20以上あるというコピーを通じて知られていたわけですが、今回は当該作はコピーや周辺作ではなく本物だと考える複数専門家の判断の続いて、ロンドンNGの館長と担当学芸員が価値を認め、11月からNGで開催される「ミラノ宮廷のレオナルド展」でレオナルド作として展示するというコミュニケを11日に出したので一躍ニュースになったということでしょう。

所有者代表によると当該作の最初の記録は1649年に英王室コレクションにあったというもので、1763年にバッキンガム公の息子がオークションに出したのを最後に1900年まで記録がなく、同年に英収集家のクックが購入、クックの子孫が1958年にサザビーで45ポンドで売却、05年に米基金(ディーラーのコンソーシアム)が購入して現在に至っているそうです。

報道によると、所有者代表(ロバート・シモンというNYの米画商)は、当該作を約2年前にNYのメトロポリタン美術館、昨年ボストン美術館に持ち込み、学芸員らが見たそう。
そして1年半前にロンドンのNGに持ち込まれ、NGのペニー館長とレオナルド展担当のサイスン学芸員が4専門家を招いて、絵を見たとのこと。
この間作品は修復に出され、NGによると2010年に終了したそうですが、誰の依頼で誰が修復を担当したのかは明らかにされてません。

ロンドンNGの会合に呼ばれたのは、NYメトのカルメン・C・バンバック、ミラノの「晩餐」修復を監督したピエトロ・マラーニ、ボルトラッフィオ伝を含むルネサンス関係の著作が多いマリア・テレーザ・フィオーリオ、オックスフォードのマーティン・ケンプ。
NGによると「我々は当該作を新発見としてレオナルド展に加えるのは大変興味深いとの感情を抱いた」。

それ真作と判断する根拠なんですが、
所有者代表によると
-仕上げの質
-準備スケッチ2点との結びつき
-1650年のホラー作銅版画との対応
-他ヴァージョンにない繊細さ
-コピーにはないペンディメンティ(加筆修正前の初筆)の存在
-顔料とテクニックの分析
「国際専門家は一致して明確にレオナルドのオリジナルである可能性を肯定した。年代については意見が分かれ、1490年代終わりか1500年以降とされた」。

ケンプは、保存が最も良い部分の筆遣いからして、真筆であることに疑いないとか言ってるだけ。

マラーニ
「修復前は古い重ね塗り層に覆われ状態は悪かったが、修復を通じて絵画の質が浮かび上がってきた。色調は見事でキリストの上衣の赤と青は「最後の晩餐」の余韻だ。科学調査に加え『岩窟の聖母』との比較も真筆であることを確認するように思える」。

関連作品の画像をアップしてくれてるサイトがありましたが、8番目の白黒画像は、1912年以前に撮影されたとする当該作品で、だとしたら相当ラディカルな修復ですね。厚い樹脂層に覆われていたようですが。
最後の赤い上衣の作品は、パリのガメー侯所蔵で1999年にサザビーに出た「レオナルド周辺」とされる作品ですね。

http://www.arretsurimages.net/vite.php?id=11679

ウーン、もう一度見ると、ホンモノかなぁという気もしてきたりして(笑)。

投稿: 助六 | 2011年7月13日 (水) 09:45

助六さん

この作品が世に出た経緯についての詳細な情報、ありがとうございます。

>クックの子孫が1958年にサザビーで45ポンドで売却、05年に米基金(ディーラーのコンソーシアム)が購入して現在に至っているそうです。

なんか、ここが怪しいです(笑)。
このディーラーのコンソーシアムはこの作品を誰の作と思って金額はいくらで購入したのか。売却した人は誰の作品だと思って売ったのか?
仮に160億円で売れた場合、もともとの所有者はこのコンソーシアムを訴えたりしないのか。などなど疑問がわいてきます。

>所有者代表によると
>-仕上げの質
>-準備スケッチ2点との結びつき
>-1650年のホラー作銅版画との対応
>-他ヴァージョンにない繊細さ
>-コピーにはないペンディメンティ(加筆修正前の初筆)の存在
>-顔料とテクニックの分析

確かに仕上げの質、繊細さ、テクニックという3点については、この小さな図版を見ただけでも見事だとは思います。でも見事な部分とレオナルドらしからぬ部分の奇妙な混交が、えも言われぬ嘘臭さを醸しだすような…

8番目の白黒画像はまったくレオナルドには見えませんから、NGが修復に出したとすると、それまではどういう扱いだったんでしょうね?
レオナルド作品の可能性があるとして修復したのか、修復が終わったら「レオナルドの真筆かも」ということになったのか…

洗礼者ヨハネの暗闇から浮かび上がってくるような見事な効果と、この単調な黒バック。
球体は他の画家の絵画を見ても光の屈折は描かず、背後の衣装ひだなどはそのまま連続して描くのがどうやら普通のようですが、レオナルドなら水晶玉を入手して実際に目に見えるように描いたんじゃないかという気がします。
1400年代だったらこのモナリザ・フェイスも無いような気がしますし、モナリザと同時期だったら、逆にこれほどの完成度(顔の部分)ですぐに手放す注文作品を描いたかどうかというのも疑問。無論レオナルドにとっての理想化がこの顔で完成していて、モナリザはそのヴァリアントという考え方もできますが…

ということで結論です。これはサザビーで45ポンドで売れたという16世紀の絵画の上に、現代の贋作ヴィルトゥオーゾが描いた21世紀の贋作。
顔料なんてどうせ絵の周辺部の影響が少ないところを削りとるんでしょうから、そこはオリジナルを残しておけばいいということで。

どうでしょう?小説にするのなら、こっちのほうが面白いと思うんですが、錚々たるメンバーが保証してるのには、ちょっと対抗できないでしょうか?

でもケネス・クラークがボッティッチェッリの贋作を見つけたときの決め手は「顔に20年代ハリウッド女優の雰囲気がある」というのだったそうですから、やはり直感が大事かも。そういえば誰かフランス人俳優あたりに見えてこないでしょうか?

投稿: TARO | 2011年7月13日 (水) 11:44


 非常にお粗末な贋作です。私自身、ダヴィンチの研究と技法の修得を何年もやって来た画家ですが、こんな物を本気でダヴィンチの作だと断言する学芸員だの専門家と称する連中は、自分ではまともな絵など描けもしない類のど素人でしょう。

 いかにしたら本物だと認定されるかつぼを心得た贋作画家の悪意に満ちた汚物のような代物としか言い様がありません。ダヴィンチの持つ神秘性の欠片もない似ても似付かない物だと断言します。勿論、技法的な意味でも幾らでも根拠は挙げられます。

 こんな物が贋作だと瞬時に分らないような人は、他のダヴィンチの作品の価値もまるで分らない人たちです。

 

投稿: KEN | 2017年11月17日 (金) 22:41

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