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2011年10月23日 (日)

NHKの音楽番組について再び

20111023_speyer_dom タイの洪水も大変ですが、今度はトルコでM7.2の地震があって、死者が多数出ているようです。500人から1000人という話も。心配です。

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NHKがFMの音楽番組において、時に音楽ファンの気持ちを逆なでするためにやってるとしか思えない、変な編成をすることがあるというのは、過去に何度も書いてきました。わざわざ歌曲集の中から1曲だけ省いて放送したり、交響曲の楽章を1楽章だけ割愛したり。ただ最近はもうあきらめてしまって、NHKに抗議メールをする気も失せてしまいました。

でもさすがにこれはちょっと酷いのではと思うのです。

先日から現在までのところ、3回にわたって今年6月1日にドイツのシュパイアー大聖堂(写真)で行われたアンサンブル・アマルコルドのコンサートのライヴが分割されて放送になっています。
アンサンブル・アマルコルドはライプツィヒの聖トーマス教会聖歌隊出身の男性によるヴォーカル・アンサンブルで、3年ぐらい前に来日して(私は聞き逃しましたが)絶賛されましたので、日本にもファンは多くいるのではないかと思います。

NHKが放送したコンサートの曲目を放送日順にご紹介しましょう。
とりあえず曲名の前についている数字は無視してください。

10月5日
①オルランド・ディ・ラッソ/5声のレクイエム~イントゥロイトゥス
②同/同~キリエ
⑥同/同~トラクトゥス 主よ魂を解き放ち給え
⑦グレゴリオ聖歌/セクエンツィア 怒りの日

10月7日
③グレゴリオ聖歌/オラツィオ 
④同/エピストーラ
⑤同/グラドゥアーレ
⑧同/エヴァンゲリウム

10月16日
⑨ラッソ/5声のレクイエム~オッフェルトリウム 主、イエズスよ
⑩グレゴリオ聖歌/叙唱 
⑪ラッソ/5声のレクイエム~サンクトゥス 
⑫グレゴリオ聖歌/主の祈り  
⑬ラッソ/5声のレクイエム~アニュス・デイ  
⑭同/同~コンムニオ 永遠の光りを 
⑮グレゴリオ聖歌/ポスト・コンムニオ
⑯ラッソ/モテット集第1巻~5声のためのモテット「ああ、わたしはなんと不幸なのでしょう、主よ」
⑰グレゴリオ聖歌/レスポンソリウム 主よ、われを解き放て

16日に放送されたものをご覧いただけば、どうやらアンサンブル・アマルコルドの大聖堂でのコンサートでは、ラッソのレクイエムの間にグレゴリオ聖歌をはさみ、実際の典礼に近い形でプログラムを構成しているのだということにお気づきいただけると思います。
そして10月5日と7日の分は何なんだろうと。

NHKはレクイエムの後半は、コンサートをそのまま放送したものの、前半は勝手に曲順を変えて、グレゴリオ聖歌だけ抜き出し、ひとまとめにしてしまったのです。

本来の演奏曲順は曲名の前の数字の順番で、6日放送のキリエとトラクトゥスの間に7日放送のグレゴリオ聖歌のオラツィオ、エピストーラ、グラドゥアーレが入り、次に6日放送のトラクトゥスとセクエンツィア(ディーエス・イレ)がきて、その後に7日放送のエヴァンゲリウムが入り、16日放送のオッフェルトリウムへと続きます。

百歩譲って時間がうまくあわないから細切れにしました、までは許しましょう。しかし勝手に曲順を変えて、演奏家の意図を台無しにするのはちょっと許せないと思うのです。
5楽章ある交響曲を時間の都合で、今日は第1楽章と第4楽章。明日は第2、3楽章と第5楽章などという放送をしたら抗議が殺到すると思います。ルネサンス音楽ファンは甘く見られてるのでしょうか?

コンサートでは16日放送分のグレゴリオ聖歌のレスポンソリウム「リベラ・メ(主よ我を解き放て)」に続いて、ラッソ作曲の「リベラ・メ」が演奏。さらにラッソは作曲していないためグレゴリオ聖歌の「イン・パラディスム」が歌われます。イン・パラディスムは死者のためのミサにおいてではなく埋葬などで歌われます。アンサンブル・アマルコルドは単純にコンサート用の声楽作品を披露したのではなく、死者のためのカトリックの儀式の音楽を最後までフォローしてるのだということにも気づきます。必ず放送して欲しいと思います。

※ シュパイアー大聖堂の画像は Wikipedia からです。

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コメント

フランス・ミュージックでも90年代、平均の連続聴取時間は30分に満たないとの理由で、3時間の長尺番組がブツ切りにされ、当然大曲の放送や息の長いプログラム構成が減ってヒンシュク買ったことがありました。

まあ昔のようなFMの助けがなければ音楽へのアクセスは経済的に不可能という状況はなくなっているわけですし、ネット時代になって音楽の切り売り・ブツ切り聞き傾向はさらに強まってるわけですから、ラジオもそうした傾向を考慮せざるを得なくなってるのは分かりますし、現在のフランス・ミュージックも実際、小曲中心モザイク傾向になってますね。

そうした傾向を容認するにしても、それを論理的プログラム構成を持ったコンサートの録音放送に適用するのは論外ですね。フランス・ミュージックもさすがにそれはやってないと思います。

因みに私はシュパイヤーの大聖堂を訪問したことがあります。もう20年近く前ですけど。
ライン地方のロマネスクのみならず、全西欧のロマネスク建築史にとっても鍵となる作例とされてるので「やっと見れた」という感じだったんですが、交差肋骨穹窿が掛けられ扶壁に支えられた巨大な高天井の教会堂で、空間意識はもう殆どゴシックなので、何だかピンと来なかったのを覚えてます。正にそれゆえに歴史上は重要なわけなんでしょうが。

投稿: 助六 | 2011年10月24日 (月) 13:46

助六さん

フランス・ミュージックもそうなんですね。日本のNHK-FMの場合、クラシック音楽番組そのものが徐々に減少していて、このままいくといずれ瀕死状態になりそうなんですが、でもなんとかまだ長尺番組は残っています。ただその時間の使い方がよくわからないのです。
せっかく日曜の午後に4時間の番組があるのに、いくつものコンサートから1曲ずつ取り上げてみたり、対局を放送するのに、このせっかくの枠を使わずに平日の1時間40分番組で2回に分けてみたり。

今回のアンサンブル・アマルコルドも極く普通に1つの番組で放送してれば、教養という点でも意味があったと思いますが、7日の放送分など単に綺麗なアカペラを楽しむ癒しのコーナーになっちゃいました。

>私はシュパイヤーの大聖堂を訪問したことがあります。

それは羨ましい。
ロマネスク建築の代表例に挙げられてる割には、フランスのロマネスクとは異なる美意識に支配されてる感じですけど、やはり、
>空間意識はもう殆どゴシック
なのですね。

投稿: TARO | 2011年10月25日 (火) 00:06

最初の2日間は他のプログラムの余白に入れられていたようですね。それにしても順番に流したら時間が合わない、という訳でもなさそうだし、プログラム順をあえて組み換えているとしたら意図がわかりませんね。私が子供の頃はよく、楽章も傾向も無視して好きな曲だけチョイスして好きな順にカセットテープにダビングして楽しんだりしましたが、まさか番組の担当者がそのようなお遊びを楽しんでいるとも思えないし…。

話はちょっとズレますが、よくTVの音楽番組を観ていて、作曲家のドキュメント番組などでその作曲家の曲がBGMとして使用される場合、それこそ時間の尺合わせのために曲の部分的なカットやめちゃくちゃな編集がなされていることが多く、いつもガッカリさせられます。そんなこと言ってたら「名曲アルバム」などは成り立たない訳ですが…。

投稿: ayame | 2011年10月26日 (水) 21:43

ayameさん

そうなんです、全然意図がわかりません。このコンサートがどういう曲目でどの順番で演奏されたかは、南西ドイツ放送のHPを見て調べたんですが、もちろん南西ドイツ放送はちゃんとコンサートをすべて(順番通りに)放送したようです。

前にちょっと助六さんあてのコメントで触れましたが、以前にはテノールのプレガルディエンがアンサンブル・コントラステと共演したコンサートなども、何ブロックかに分けて番組の余白余白にはめこんで放送されました。でもそのコンサートは「さすらい」をテーマにマーラーとシューマンを組み合わせたプログラムで、プレガルディエンには確固たる意図があったはずなんですよね。それが全く伝わらなくなってしまいました。

>私が子供の頃はよく、楽章も傾向も無視して好きな曲だけチョイスして好きな順にカセットテープにダビングして楽しんだりしましたが

それは私もよくやってました。というか今もiTunesのリストで似たようなことをやってます。あとマタイ受難曲をアリアだけ好きな歌手に入れ替えて一本のテープにするとかもやりましたね…

>時間の尺合わせのために曲の部分的なカットやめちゃくちゃな編集

これはディレクターと音効さんのセンスが試されるところなんですよね。
まあBGMとして諦めていただくしか…
今は音楽に関わる仕事はほとんどしてませんが、ニュースの仕事をやっていたときには、よくBGMにクラシックを使ってました。ニュースですから当然、細切れにならざるをえないんですが、でもそうういう時こそ腕の見せ所で、楽しかったですね。

投稿: TARO | 2011年10月26日 (水) 23:23

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