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2011年11月

2011年11月30日 (水)

高速無料化/アスベスト/トイ・プードルの警察犬 ~ニュースの落ち穂拾い ~Watch What Happens

20111130 東北の高速、被災者以外の無料化が明日1日からスタート

東北地方の高速道路で1日午前0時から、被災者以外の車も無料通行できる新たな無料化がスタートする。東日本大震災の被害が大きかった太平洋側の「被災地支援エリア」の東北道などでは全ての通行車両が毎日無料。観光振興が目的の日本海側では、土日祝日のみ自動料金収受システム(ETC)を搭載した普通車以下に限定して適用する。新制度では、被災・罹災証明書の提示は不要となる。
(共同通信)

無料化される高速のエリアは画像の通りです。
記事にもあるようにこの無料化措置は、全ての車が対象となります。皆様、どうぞ車で東北においで下さい。
と積極的に仙台観光をPRしようと思ったらですね、なんと!

仙台駅近くで基準大幅に上回るアスベスト

仙台駅近くの解体工事中の(旧)ホテルサンルート仙台周辺の大気から、基準値を大幅に上回るアスベストが検出されたんだそうです。

市環境対策課によると、28日に立ち入り検査をして環境測定を行った結果、ホテルの敷地境界で大気1リットル当たり10本以上のアスベストが検出された。100本を超えるとみられている。
WHOは「都市の石綿濃度は1リットル当たり10本程度」を判定基準としており、10本を超えると健康被害のリスクが高まるという。
市の調査で、工事を請け負った東洋環境開発(青葉区)が9階建てのホテルを解体するに当たり、アスベストを除去しないまま作業を開始した箇所があったことが判明。不適正な工事が今月13~28日にかけて行われた結果、アスベスト含有吹き付け材が損傷し、飛散したとしている。
市は同社に、アスベストが外部に飛散しないよう、ビニールシートでホテル開口部を密封させるなどの措置を取らせた。

(河北新報)

まあ、これは完全に工事会社のミスのようですが、アスベストに関しては古いアスベスト使用の建物が津波でガレキとなった可能性があり、ガレキ処理場なども危険性が高いらしいです。

全国初、なんとトイプードルの警察犬!

これは昨日のニュースなんですが、とっても気になってました。

鳥取県警の嘱託警察犬の審査会で、小型犬のトイプードル2匹が合格した。
県警によると、トイプードルの警察犬は全国で初めてという。県警は12月上旬に正式に嘱託し、早ければ来年1月頃から行方不明者の捜索などで出動する。
同県米子市の会社役員細田幸夫さん(64)のフーガ(雌2歳)と鳥取市の会社員井関純さん(34)のカリン(雌1歳)。
ともに鳥取市内の訓練所で、しつけなどのために預けられていたが、訓練士が2匹の素質を見抜き、今年に入って警察犬になるための訓練を開始した。
今月18日に開かれた審査会には、大型犬も含め24匹が出場。においを頼りに犯人を追う「足跡追及」などで優秀な成績を収め、初挑戦で合格を決めており、県警は、「大型犬が入れないような狭い場所での活動で才能を生かしてほしい」と期待している。

(読売新聞)

合格した2匹の写真はこちら>クリック!
ぬいぐるみみたいで可愛い。でもビックリですね、トイプードルがそんなに頭が良かったなんて。
まあ、このニュースに関して私が確信を持って言えることは、飼い主の米子市の会社役員細田幸夫さんはバッハ好き。

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2011年11月29日 (火)

ケン・ラッセルとは何者か・9 ~ケン・ラッセル死去

20111129_ken_russell ケン・ラッセルが亡くなったそうです。不思議なこともあるものです。あの人は不死身だと思っていましたが…

ケン・ラッセル氏 84歳(英映画監督)27日、英国内の自宅で死去。
英南部サウサンプトン生まれ。BBC放送でドキュメンタリーなどを手がけた後、映画監督に。裸のレスリングシーンが話題となった「恋する女たち」(1969年)で、米アカデミー賞監督賞にノミネートされた。
代表作は、ロックバンド、ザ・フーのアルバムを映像化した「トミー」(75年)、「肉体の悪魔」(71年)など。性や暴力を扱った過激な作風で、「鬼才」と称された。

(読売新聞)

シネマトゥデイによれば、死因は脳卒中だそうです。彼の息子アレックス・ヴァーニー=エリオットは、死に際について「笑顔のまま亡くなった」とコメント。直前まで「不思議の国のアリス」のミュージカル映画にかかわっていたとのこと。
また、ハリウッド・チャンネルによれば、「ラッセルは海賊風の葬儀を望んでいた」というんですが、海賊風って・・・??

もし生涯のベスト・テンを選ぶなら、私の場合「恋する女たち」と「肉体の悪魔」は必ず入るんですが、――これまで見たすべての映画の中からたった10本を選ぶとして、2本入る監督なんて他にいないんですけど――にもかかわらず彼の作風は全く好きではありません。
特にハリウッド進出以後(「アルタード・ステイツ」以後)は、パターン化された撮影技法、マンネリじみたイメージの濫用などなどが完全に鼻につき、やれやれという思いだけが残ります。

最悪なのは女性の好みで、ケン・ラッセルの不細工好きはなんとかならなかったものでしょうか?
ナターシャ・リチャードソンはケンの映画以外では綺麗だし、サミ・デイヴィスも撮りようによってはなんとかなるのに、ケン・ラッセルが撮るとことごとくブス度が増すというこの不思議。
俳優の演技を引き出す技にも、あまり長けてなかったような気がします。さすがに「恋する女たち」のクァルテット(グレンダ・ジャクソン、ジェニー・リンデン、アラン・ベイツ、オリヴァー・リード)や「肉体の悪魔」のヴァネッサ・レッドグレーヴなどの名優は、ケンの画面の中でも凄い演技を見せていて、存在感と言うかエネルギーを放っていると思いますが、その他は…キャスリン・ターナーもトニ・パキもリチャード・ドレイファスもみんな討ち死に。

と考えてみると女優としては素人だったトゥイッギーや、まだ新人だったトミー・チューンが「ボーイフレンド」でいきいきと輝いていたのは、あるいは特筆すべきことだったのかも知れません。

思いつきで書いてて、ちゃんと考えてるわけではないのですが、ケン・ラッセルにとって一番いけなかったのは、彼が巨匠になってしまったことではないかと思うのです。
ケンは変態なので、枠や縛りがある中でギリギリ個性を発揮すると輝くような気がするのです。もしすべてが自由になって、なんのタブーも無くなったら、変態は変態で無くなります。他の脚本家の本や、有名な原作に縛られてるうちは彼の能力は最大限に発揮できたのに、瞬く間に巨匠呼ばわりされるようになり、ケン・ラッセルの好き勝手に一切の制約を与えず作らせると傑作ができるんだなどという幻想が支配するようになって、枠も縛りも無くなった時、芸術が芸術たるべきフォルムを失って、グダグダになっていったのではないかという気がします。だから逆に音楽という完璧な縛りがあるオムニバス映画「アリア」の『トゥーランドット』は成功したのではないかと。でもまあちゃんと考えてるわけじゃないので、かもしれないと思ってる程度の話ですが・・・。

このブログにおける「ケン・ラッセルとは何者か」というシリーズは、8の「マーラー」まで書いて頓挫してるんですが、理由はふたつあって絶対に無視できない「ボーイフレンド」と「狂えるメサイア」が2つとも、記憶だけで書くのはかなり覚束なく、ビデオが欲しかったのに入手出来なかったこと。そしてもう一つは一体この後どう進めればいいのか迷ってしまったこと。

そう、実はいまもよく分らないのです。いったいケン・ラッセルって何者なのか・・・

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2011年11月28日 (月)

オペラのあらすじ・5~「エスクラルモンド」(後)

20111127 (昨日の続き)
第3幕2場

3幕2場は1場から連続して演奏されます。
一人になった騎士ローランのもとに司教が現れ、クレオメール王の娘と結婚できない理由を神に告白するよう求めます。ローランは「神に」という言葉に説得され、司教にエスクラルモンドとの誓いを告白してしまいます。
邪悪な誘惑!その女は悪魔だ!!とおののく司教。

その夜もローランのもとにエスクラルモンドがやってきます。しかし司教を先頭に司祭たちが待ち受けていたのでした。「退散せよ!悪魔め」と司教がエスクラルモンドのヴェールを剥ぎとります。
「おお、ローラン。裏切ったのね、私の姿を見てしまったのね。この星よりも光り輝く瞳を。裏切り者、あなたは私を失った!」と、エスクラルモンドはアリア「御覧なさい、この目を Regarde-les, ces yeux」を歌います。絶望と悲しみにみちたこのアリアは、ちょっと「ル・シッド」のアリアを思わせ、マリア・カラスあたりで聞いてみたくなるような曲です。
捕まえようとする司祭たちの前で、火の精がエスクラルモンドを取り囲み、焔に包まれてエスクラルモンドは消えていきます。

第4幕

エスクラルモンドの夫を決める試合の日がやって来ました。しかし彼女はローランと別れた日以来、いずこかに姿を隠してしまい、誰も見つけることが出来ません。困り果てた妹パルセイスとその恋人のエネアスは、余生を魔法に捧げている父の前皇帝フォルカスを訪ねます。
事情を聞いて怒るフォルカスは妖精たちに、エスクラルモンドを連れてくるように命令します。
雷鳴と稲妻、大地が開いて、長い眠りから目覚めたエスクラルモンドが現れます。

妖精がフォルカスに「エスクラルモンドが恋人を捨てると誓わぬ限り、その男を殺せ」と求めます。恋人を救うため、それに応じるエスクラルモンド。

そこにローランが現れます。エスクラルモンドに許しを請い、愛を誓うローラン。別れを決意していたエスクラルモンドも、愛するローランを目にして一度は一緒にどこかに逃げようと考えます。しかし、その途端に地底から「恋人と縁を切れ、さもなければ彼は死ぬのだ」という声が聞こえてきます。「もう愛していないわ、さようなら!」と言って消えるエスクラルモンド。絶望したローランは試合に参加して、そこで死のうと決心します。

エピローグ

大オーケストラとオルガンによってプロローグと同じ音楽が繰り返されます。
死のうとしたローランは、しかし試合に優勝してしまいます。前皇帝フォルカスとヴェールに顔を覆ったエスクラルモンドが現れ、ローランに褒美としてエスクラルモンドが与えられようとします。
しかしローランはそれを拒絶します。「私の名は絶望、栄光の死を選ぼうとしたのですが、神はその望みも叶えてくれなかった。どのような賞品も受けるわけには行きません」

フォルカスは「一目なりとも、彼女の顔を見る気はないのか?」と問いますが、ローランは「ありません。私を支配できるのは唯一人、他は無に等しいのです」と答えます。それを聞いてヴェールの中で喜びにふるえるエスクラルモンド。そしてフォルカスが彼女のヴェールをさっと剥がし、ローランの前に愛と幸福に満ちたエスクラルモンドが姿を現すのでしたでした。

「おお、神々しいエスクラルモンド!勇敢な英雄よ!2人の愛を祝って、天地は喜びの声を上げる」一同の歓呼の声で、全曲が閉じられます。フィナーレはとてつもなく派手派手です。

カーテンコール

20111128_aya_sofya あえて言うまでもなくビザンティン帝国とは、東西に分裂した後の東ローマ帝国のことです。ビザンツ帝国とも書かれます。都は後にトルコに占領されイスタンブールと名を変えるコンスタンティノープル。中世にはヨーロッパ最大の都市であり、世界中の富が集まる経済の中心地でした。
(写真はハギア・ソフィア大聖堂。Wikipediaより)
当時最も文化が発達していたのはオリエントで西ヨーロッパは後進国でした。必然的にオリエントに近い東ローマ帝国の方が文化の程度は高く、国民も指導者層もローマ帝国の正当を受け継ぐのは自分たちだと考えていたに違いありません。もちろん宗教的にもギリシャ正教とかロシア正教とか言うように、ローマ教会よりも東方正教会こそが「オーソドックス」なキリスト教と考えていたのです。

従ってもしビザンティン帝国の人が、皇帝が魔術を使うとか、宮廷に妖精が飛んでいるとか、女帝が変な怪獣のひく車で空を飛んでるとか聞いたら、たぶん怒り出すんじゃないかと思います。そんなのは暗黒の中世にいる西ヨーロッパの話だろうと。
でもまあ滅亡した国だし、気にしなくていいやと考えたのかも知れないですね。マスネさんと台本作者さんは。

歌劇「エスクラルモンド」は、1889年初演ですからマスネが47歳ぐらいの時に書かれました。「マノン」の5年後という円熟期の作品であり、この作品の3年後に「ウェルテル」、5年後に「タイス」が初演されています。

マスネが最も愛した作品とも言われていて、実に上手に書かれていると思いますが、やはり足りないものがあります。
マスネの音楽は一般的にセンチメンタルな甘い旋律が特色ですが、この作品にはそれが希薄なのです。そして逆説的にはなりますが、この曲を聞くと、まさに感傷的な甘美さこそが――単にマスネの本領というだけでなく――その音楽の核心なのだと実感せずにいられません。核心を欠いた作品がいくぶんか空虚に響くというのは、やむをえないことなのだろうと思います。

歌劇「エスクラルモンド」の録音は、普通に求められるものとしては、サザーランド主演のデッカ盤しかないと思います。でもこれは申し分のない名盤で、タイトルロールのサザーランドはその美声を聞くだけで喜びを感じますし、ローランのアラガルも最高です。パルセイスのユゲット・トゥーランジョーとサザーランドの音色の対比、ライランド・デイヴィスの同じテノールながらアラガルとは全く違う音色を作っているエネアスなど、脇役もとても良くて、この一組で十分かと思います。

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2011年11月27日 (日)

オペラのあらすじ・5~「エスクラルモンド」(前)

20111127 私たちはオペラのヒロインはすべからく美人だと思っていないでしょうか。「椿姫」とか「マノン」とかは美女でなければ成立し難い作品だと思いますが、普通のオペラでもなんとなくヒロインは美貌の持ち主と思い込んでるような。演者がそうでもない時(失礼!)には脳内補正をかけますよね。
でもまあそうはいっても必ずしも絶世の美女である必要はありません。「夢遊病の女」でも「愛の妙薬」でもせいぜい村一番の美人程度で話は成立します。

ところがこのエスクラルモンドときたらそんなもんじゃないのです。何しろ彼女は「光り輝く美女」なのです。すべてがひれふす美貌の持ち主。しかも彼女はビザンティン帝国の王女です。そんじょそこらの王様の娘とは格が違います。オペラ界広しといえどもトゥーランドットとタメを張れるのはエスクラルモンドただひとりと言ってよいでしょう。

おまけに彼女は魔法が使えます。クイズしか出せないトゥーランドットに対してアドヴァンテージ1です。
エスクラルモンドのまわりにはいつも妖精がふわふわしています。ピンポンパン体操と首切り役人しか仲間がいないトゥーランドットに断然差をつけます。(正しくはピンパンポン)
そのうえ彼女はやたら情熱的なのです。一目惚れした男を魔法で呼び寄せ、いきなり「私と結婚してください」なんて迫っちゃったりします。ビザンティン帝国の皇女が勝手にそこいらの男と結婚できるわけはないので、「結婚」が何事かの婉曲表現であることは言うまでもありません。キスされたぐらいでヘナヘナになってるトゥーランドットに圧勝です。

そんなヒロインと中世フランスの騎士の恋愛物語、マスネの歌劇「エスクラルモンド」。音楽はワーグナーの影響を強く受けていますが、ストーリーは一種のお伽話であり、同じ中世ものでもワーグナーよりはむしろディズニー映画の世界(「眠れる森の美女」とか)に近いと言えそうです。

プロローグ

ビザンティン帝国の皇帝フォルカスは、帝位を娘のエスクラルモンドに譲り、自分は魔法に専念する(!)と人民に宣言します。そしてエスクラルモンドは20歳までヴェールで顔を隠して暮らすこと、20歳になったら勇者たちによる試合の優勝者と結婚することが告げられます。
ついで「目もくらむばかりの」「神々しい」エスクラルモンドが登場、人々は新たな女帝を讃え、オケと合唱にオルガンまで加わった大音響でプロローグを閉じます。

第1幕

舞台は宮廷のテラス。ただ一度その姿を見た騎士ローランに激しい恋心をいだいたエスクラルモンドは、皇帝の座にしばられ、夫さえもきまぐれな試合の結果で決められてしまう自身の運命を嘆きます。エスクラルモンドはソプラノによって歌われますが、このアリアがせめてもうちょっと、「タイスの瞑想曲」とまではいかなくてもハッキリとした美しい旋律に彩られていたら、この作品は現代でももう少し上演機会を得たかも知れません。

妹のパルセイスがやってきて、嘆くエスクラルモンドを慰めます。二人の二重唱はなかなか美しく、しかもパルセイスはアルトなので声の対比も十分で聴き応えがあります。
そこにパルセイスの恋人で、1年間の武者修業の旅をしていたエネアスが帰ってきます。エネアスは「すべての敵をうち負かしてきたが、たった一人ローランだけが自分に勝ったこと。そのローランはフランスのクレオメール王によって、王女と結婚させられようとしている」と話します。

グズグズしていたらローランが結婚してしまうと知ったエスクラルモンドは、もはや猶予はできないとばかりに、妖精たちを使ってローランを魔法の島へ呼び寄せます。そして自らもグリフィン(半身が鷲、半身がライオンの怪獣)のひく2頭立ての馬車に乗って、魔法の島へ向かうのでした。

第2幕

魔法の島でローランは、ヴェールで顔を覆った女性にくちづけされ目覚めます。
その女性から結婚してくださいとせまられ、顔も見えないのにと驚くローラン。しかしエスクラルモンドの不思議な魅力に惹かれ、承諾してしまいます。周囲を飛び交う妖精たち。魔法の夜の瞬間が過ぎていきます。

朝が来て、エスクラルモンドはローランにこの結婚を誰にも口外しないと誓わせ、ローランに魔法の剣を授けます。ローランは剣を持ってサラセン軍に囲まれて苦戦しているクレオメール王のもとに戻って行くのでした。

第3幕第1場

この冒頭は最もワーグナーっぽい音楽で、ことに「ワルキューレ」を彷彿とさせます。
ブロワの街はサラセンの軍勢に囲まれています。ブロワは陥落寸前で、クレオメール王は「敵は百人の処女をさしだすように要求してきた」と苦悩します。するとそこへローランが現れ、「私が敵将と一騎打ちで勝負する」と言って、出陣していきます。

やがてローランが勝利して帰ってきます。クレオメールは救国の英雄ローランに娘バティルドを与えると言いますが、ローランはそれを受けません。理由を聞かれても「それは言えない」と答えるのみです。

幕間

この作品のメイジャー・レーベルの録音は、サザーランドがタイトルロールのボニング指揮のデッカ盤だけだと思います。このボニング盤の解説には時代背景は中世としか記されていないのですが、フランスにサラセンの軍勢が攻め込んだということで、もう少し時代は特定できそうです。

便宜的にフランスと書いてきましたが、この頃はフランク王国と書くのが正しく、メロヴィング朝の時代でした。フランク王国の歴史から、オペラに関係ありそうなものをピックアップすると――

711年 スペインに侵攻したイスラム勢力(サラセン)が西ゴート王国を滅ぼす。イベリア半島は一部を除いてイスラムの手に陥ち、イスラム軍はピレネー山脈を越え南フランスに攻め込みます。
720年 イスラム勢力はナルボンヌを占領。
725年 カルカッソンヌ、ニームを攻撃、ローヌ川を越える。
732年 大将アブドゥル・ラフマーンに率いられたイスラム軍が、アクィテーヌを攻撃。そのまま侵攻し、ロワール川に迫る。しかし、世界史の教科書にも出てくる有名なカール(シャルル)・マルテルが迎撃に立ち、かのトゥール・ポワティエの戦いで、サラセン軍を撃退します――というか勝手にイスラム側が退却して、イスラム勢力のロワール川渡河は阻止されます。
751年 カロリング朝成立。
778年 カール・マルテルの孫に当たるシャルルマーニュがスペイン侵略。この時のエピソードを元に、後世(12世紀頃)有名な叙事詩の「ローランの歌」が作られる。

トゥール・ポワティエの戦いでイスラム軍が退却したというのは、指揮者を失ったからでした。この戦いではトゥールとポワティエの間の平野に双方が布陣し、争っていたにも関わらずなかなか戦いの決着がつきませんでした。
戦いも8日目に入った時、イスラム軍の大将アブドゥル・ラフマーンが、フランク軍の兵士数十人に囲まれてしまい、あえなく戦死するという事件が起きます。しかしフランク軍も兵士の損失が大きく、戦いは翌日に持ち越されると思っていた所、指導者を失ったイスラム勢は、夜の闇に紛れてとっとと引き上げていったのでした。

800pxloire_river_blois_2 推測ですが、もしかするとオペラにおける「ローランが敵将と一騎打ちで勝つことによって、ブロワの街(ロワール川流域にあります:写真はWikipediaより)を救った」というのは、この歴史的事実をアレンジした創作かもしれません。
「ローランの歌」のローランは時代的に合わないので、このオペラとは関係がないと思いますが、名前の命名には影響してる可能性もあるかもしれませんね。ローランはイタリア名はオルランドで、そのうちヘンデルかヴィヴァルディを取り上げることがあったら、また出てくるかも知れません。
(続く)

※ なお全然関係ないのですが、「トゥール・ポワティエの戦い」は最近では「トゥール・ポワティエ間の戦い」と表記することになっているようです。理由は戦場となった場所がトゥールとポワティエの間のどこかで、特定されていないからだというのですが、私はこの表記は日本語として少し変ではないかと思います。
普通「○○・△△間の戦い」と言ったら、○○軍と△△軍の間でかわされた戦いと解釈するのが普通じゃないでしょうか。仮に『江戸・大坂間の戦い』といったら、江戸と大阪の間で交わされた何かの争いと思うのが普通で、中間の何処かの場所で行われた戦闘と思う人はまずいないのでは?――そのうち「桶狭間の戦い」を、『桶』と『狭』という場所の中間の土地で起きた戦いだと思う人が出てきたりして…

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2011年11月26日 (土)

コンピュータの話題

20111126_anyoji たまにはPCの話題など。…って「たま」でもなかったでしょうか。

Ivy Bridgeは来年4月

いつも読んでる「北森瓦版」様のブログによれば、インテルの次のCPUである Ivy Bridge は3月から4月に出荷予定と言われていましたが、どうやら4月になるとのことです。
最初に発売されるのはデスクトップ向けの Core i7 と i5。それにモバイル向けの i7 だそうです。
もっと安いもの、つまりデスクトップ向けの i3 は第2四半期の後半――ということは5月下旬から6月あたりということになるとのこと。

まあジサカー(PCを自作する人)以外は興味がないかも知れませんが、Ivy Bridge はその性能・機能のあまりの良さから、皆待ち望んでいる製品。現行のSandy Bridge に移行しないで我慢してた人も多いはずです(私もその一人)。少しでも早く発売になって欲しかったのですが、4月ですかあ。3月だとよかったなあ…待ち遠しい…

おにぎりウォーマー登場!

USB接続の扇風機はすっかり市民権を得てしまいました。USBでの温暖スリッパとか、マグカップ暖め器とかももはや普通です。
で、こんどは「USBあったかオニギリウォーマー」というのが発売に。
コンビニで売っているおにぎりがちょうど入るサイズで、USBにつなぎ電源をいれてから15~30分で食べごろのホカホカなおにぎりが出来上がるそうです。売り文句は「電子レンジがなくても、USBでつなぐだけでおにぎりホカホカ!」。

値段は1480円とちょっとお高く、えーっ!?という感じ。
コンビニのおにぎりを1個食べるということはあまりないように思います。1個では普通の食事には足りないので、2個買うことが多いんじゃないでしょうか?そうするとこの「USBあったかオニギリウォーマー」も2つ必要で2960円!そのお金でおにぎりが28個買えるんですけど・・・

HDDの値段、値下がり傾向

タイの洪水、被害額はなんとあわせて3兆4550億円に達するそうです(読売新聞による)。
ハードディスクが急激な値上がりをしているというのは、前にお伝えしましたが、あの記事の後もどんどん高くなっていきました。しかし先週あたりからようやく落ち着いてきて、なんとか今週は値下がりに転じたようです。もちろんまだまだ洪水以前の水準には戻っていませんが。

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2011年11月25日 (金)

台原森林公園

20111125_1 をご紹介します。森林公園という名前ですが、山奥にあるわけではなくて、周りは住宅地に囲まれています。仙台市の北部、青葉区と泉区の境界近くにあります。

広さは60ヘクタール(このうち約50haは国有林だそう)。住宅地の公園としては破格の面積で、公園に面した地下鉄の駅が2つもできています(地下鉄台原駅&旭ヶ丘駅)。

でも不思議なことにあまり広々した感じはしません。というのも「住宅地に囲まれて」いるとは言っても、セントラル・パークのようにビルに囲まれた平地というのとは違って、住宅地が小高い丘陵を囲み、その真ん中を突き抜ける谷底に作られた公園なのです。正確に言うと山(丘陵)部分をふくめて森林公園になっていて、谷底部分に庭や池、芝生、広場などができています。山部分はどの季節でも爽やかで気持ちの良い林の中をグルッと遊歩道がめぐっていて、何時行っても誰かしら散歩やジョギングをしている人に出会います。

20111125_2 写真に写っている大池はなかなか良いスポットで、以前にもこのブログに載せたことがあります。

周囲には仙台市科学館、仙台文学館、仙台市青年文化センターなど仙台市の施設がありますし、フリーマーケットなどのイベントが開かれることもあり、そんな時はかなりの人出で賑わいます。
上に地下鉄の駅が二つと書きましたが、どちらか一方の駅の傍でイベントが開かれる時に、間違ったほうで降りると、面積があるだけにすごく歩かなくちゃならないので超タイヘンなのです。

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2011年11月24日 (木)

訃報 ユリナッチとフィゲラス

コメント欄で助六さんに教えていただいたのですが、たいへん悲しいことに二人のソプラノ歌手の訃報を伝えなければなりません。
戦後のウィーンを代表する偉大なオペラ歌手セーナ・ユリナッチが90歳で、サバール夫人でエスペリオンXXのコンサートや録音でお馴染みのソプラノ歌手モンセラット・フィゲラスが69歳で、それぞれ亡くなりました。

20111124_jurinac ユリナッチは1921年、ボスニアのトラヴニクに生まれました。ザグレブの音楽院で学んだ後、1942年にデビュー。ベームに招かれウィーン国立歌劇場と契約。第二次大戦がヨーロッパで終了した後に、ウィーンではじめて「フィガロの結婚」が上演された際のケルビーノを歌いました。その後モーツァルト、ベートーヴェン、R・シュトラウスそしてイタリア・オペラなどでウィーンを中心に活躍。ベームとカラヤンの両方に愛された歌い手でした。

私はまだ音楽に興味をもつ前だったのでよく分らないのですが、日本では何よりもカラヤンの「薔薇の騎士」の映画が上映された時に、その美しい男装の麗人ぶりがファンの心を捉えたらしいです。後に「音楽の友」誌の編集長になる堀内美也子さんが編集者時代に、熱烈な賛辞の文章を書いてたのを思い出します。

私はユリナッチの映像は、制作順とは逆に「薔薇の騎士」の前に「ヴォツェック」を見ていたので、オクタヴィアンは「なるほどこれなら宝塚好きの日本人には大受けだろうな」などと冷静に見られましたが、仮に公開当時に見ていたら夢中になっていたかも知れません。

オクタヴィアンは彼女の最大の当たり役と言って良いかと思いますが、後にユリナッチは元帥夫人をレパートリーとするようになります。また「フィガロの結婚」でも後には伯爵夫人を歌い、オルフェオから出ているアリア集(Sena Jurinac: Figaro, Palestrina, and etc. (2 CD) )では「フィガロ」「薔薇の騎士」ともにニ役を聞くことができます。
1983年に舞台から引退しました。
ついでながら彼女の名前は本当はユリナッツと発音するのだそうです。

20111124_figueras 古楽を専門とするソプラノ歌手モンセラット・フィゲラスは、ジョルディ・サバールの夫人です。サバールとエスペリオンXXのコンサートにはかかせない歌い手でした。

彼女は1942年バルセロナの生まれ。古い時代の音楽に興味を持った彼女はカタルーニャの古楽アンサンブルに参加。そこで知り合ったヴィオール奏者のジョルディ・サバールと1968年に結婚します。(ちなみにWikiによればサバールの名前の発音はホルディよりもジョルディが近いのだそうです。)

結婚後二人はスイスのバーゼルにおもむき、バーゼル・スコラ・カントルムとバーゼル音楽院で研鑽を積みます。
74年にサバールとともに古楽アンサンブル「エスペリオンXX」を結成。(XXは20の意味ですが、発音は各国語で良いとのこと。日本では『エスペリオンにじゅう』でOKだそうです。なお現在はXXI『にじゅういち』になっています。)
このサバールとエスペリオンXXがやがてスペイン古楽界の雄となり、後にはバッハなども演奏して絶賛を博すことになるのは、ご存知のとおりです。

フィゲラスは美しく繊細な声を持った歌手で、中世からバロックまでの音楽が専門の歌手でした。
同じバロックの歌手でもバーヨやカークビーとは全く異なる、素朴さを感じさせる歌い方をする人なんですが、歌声にはあたたかみがあって不思議な魅力がありました。それがスペインの中世・ルネサンスの民衆の音楽などにはピッタリとはまっていて、サバールのその種の音楽活動には欠かせないパートナーだったと言えます。オペラではモンテヴェルディは歌いましたが、それより後の時代はおそらく歌ってないんじゃないかと思います。

上に貼ったのは「シビラの歌」という88年録音の彼女の代表作です。ただしこれCDじゃなくてダウンロード販売なのでご注意ください。CDはAmazonでは高価なハイブリッド盤や法外な値段の中古品の出品しか無いので、こちらにしました。HMVのサイトだとまっとうな値段で出ていますので、CDが欲しい方はそちらお勧めです。

フィゲラスは42年生まれということで、計算したらもう69歳になってたんですね。現在は夫妻の子供たちも一緒に音楽活動をやっているそうです。

お二人のご冥福をお祈りいたします。

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2011年11月23日 (水)

忙しくて忘れる

20111123 今は仕事を控えてるので、病気前のように忙しくはないのですが、このところ個人的な用事で忙しい日が続きました。
この「忙しい」という字。「りっしんべん」は「心」ですから、心を『亡くす』or『亡ぼす』と書くわけですが、私は前々から同じ組み合わせなのに「忘れる」という字もあるのが気になってました。

この機会に(どの機会だ?)「忙」と「忘」の成り立ちについて調べて見ることにしました。

インターネットで検索してみたら、なんだか同じ疑問を持つ人も多いらしくて、色々出てきました。でもなんか適当に推測で書いてる人が多いようです。なんだかなあと思っていたら、大修館書店のサイトに《漢字Q&A》というコーナーがあり、私の知りたいことが見つかりました。それによりますと、

この2字の場合、現在では意味が全く違うとはいえ、「心ここにあらず」というような視点から眺めれば、意味の共通性がありえます。また、「忙」の字形は、紀元1世紀ころの漢字辞書『説文解字』(せつもんかいじ)には見あたりませんし、この字はもと「間の抜けたようす」を意味していて、「いそがしい」の意味で使うのは、唐王朝や宋王朝のころ(7~13世紀)以降だともいいます。以上から考えると、「忙」と「忘」は、もともとは同音同義の異体字だった可能性もあるのです。
(漢字Q&A)

ということだそうです。つまり、

 紀元前1世紀:「説文解字」に掲載されている。意味は『わすれる』

 紀元前1世紀:「説文解字」には掲載されていない。
   いつかの時点:『間の抜けた様子』という意味で使われる
   7世紀~13世紀のどこか:『いそがしい』という意味で使われる

「説文解字」に掲載されていないというのは、まだ「忙」という字が存在してなかったか、同じ字とみなされていたということだと思いますが、どっちかは分からないわけですね。
いずれにせよ「間の抜けた様子」と「忘れる」は近いものがありますから、もともとは同音同義の異体字だった可能性というのは強いんじゃないでしょうか。文字の成立がいつの時点だったかはともかく。

かりにそうだったとして、何故に下にあった心が横に移動したのかを知りたいものですが、それは判りません。また、なぜ「りっしんべん」の方は意味が変化していったか。残念ながらそれも判りません。

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2011年11月22日 (火)

国内最高齢のカピバラ死ぬ ~ニュースの落ち穂拾い Watch What Happens

20111121 去年10月に奥さんの「ウチ」に死に別れた、国内最高齢のカピバラの「ウミ」が昨日死んだそうです。14歳1ヶ月。
カピバラの寿命は5~10年ということですから、ウミの14歳というのはものすごい長寿ということですよね。

ウミは名古屋生まれ。埼玉県東松山市の「こども動物自然公園」で飼われていて、ウチとの間に47頭もの子供を作りました。しかしカピバラとしては相当な高齢のため、余生を静かに過ごしてもらおうと、2年前同じ埼玉県の「大宮公園小動物園」にウチと共につがいで引っ越してきたそうです。

ウチとウミはいつも一緒にいた仲良しカップルだったのですが、大宮に移る直前にはなぜかケンカ状態(?)になることがあって、ウミがウチを追い回して、以前から状態が悪くて引きずっていたウチの足がますます悪化したり、ウチがウミに背中を噛まれたりといったことが起きていたんだそうです。なんか不思議ですが、動物も年をとると関係に変化が来るものなんでしょうか?

面白い事にこのカップルでは去年死んだ雌のウチのほうがチャレンジャーで、新しい環境にもすぐになれて池で水浴びをしたりしてたそうです。ところが昨日死んだ雄のウミは臆病で、暑い日でも池には入らず水飲み容器の中に入っていたとか。

大宮公園小動物園のHPの中の「動物日誌」にカピバラのコーナーもありますので、ウミとウチの写真を見たい方はどうぞ。なぜか去年10月のウチの死以来更新されてないんですが。

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2011年11月21日 (月)

雑誌「旅」休刊に

20111121_1 新潮社は21日、1924年創刊の旅行雑誌「旅」を、来年1月20日発売の3月号で休刊すると発表した。
「広告収入の減少と旅行需要の落ち込みなどで、恒常的な赤字体質を改善できなかった」(同社)ため。
同誌は日本初の本格的旅行雑誌として、日本旅行文化協会から刊行され、戦後、高度成長期の旅行ブームで人気を集めた。作家、松本清張の代表作の一つ、「点と線」を連載(57~58年)し、ベストセラーも生んだ。2004年に売り上げ不振のため、発行が新潮社に移管。今年の11月号で通算1000号を達成したが発行部数は低迷し、ピーク時の20万部が現在は5万部程度という。同社は「不定期刊など何らかの形で『旅』のブランドや精神を継承したい」としている。

(毎日新聞)

2004年の新潮社移管の時も「へえ~」と驚いたものですが、ついに休刊ですか…
たしかに今旅行するとしたら、まず最初にインターネットで情報を探し、次にインターネットでホテル・旅館を予約し、インターネットでクレジット決済し、インターネットでJRの時間を調べてといった具合で、雑誌に頼ることがほとんど無くなりましたからねえ…

20111121_2_2 なんとか通算1000号まで頑張ってやってきたという感じなのでしょうか。それにしても創刊1924年といえば大正時代ですよね。そんなに古くからやってた雑誌だったとは。
私は関係ないですが、旅行関係のライターや風景写真を中心とするカメラマンなどは、収入源がひとつ減ることになり、大変かもしれません。

※ 写真は昨日の乳銀杏です。

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2011年11月20日 (日)

宮城野八幡神社と乳銀杏

201111201_2 八幡神社という名前の神社は全国いたるところにありますが、もちろん宮城野区にもあります。その名も宮城野八幡神社。宮城野原運動場の近く、仙台医療センター(旧・国立仙台病院)の向かいにあります。

この神社、社殿(クリック>拝殿の写真)そのものは小さくてあまり目立たないですし、凄く有名というわけではないのですが、実は大変に古く由緒ある神社です。なにしろ神社が建てられたのは延暦17年(798年)、坂上田村麻呂が勧請したものなのです。

どこからの分霊かというと男山八幡宮からなんですが、これがよく判りません。男山八幡宮というのは京都の男山にある石清水八幡宮の異称なんですが(明治時代には石清水八幡宮は男山八幡宮と改称され、その後再び石清水八幡宮の名前に戻った)、でもものの本によると石清水八幡宮は859年に建立されたみたいなんですよね。
田村麻呂か男山八幡宮かどっちかが間違い、あるいはどっちも違うのかも知れません。源義家が戦勝祈願をしたという歴史などもあり、いずれにせよ古く由緒あるというのだけは間違いありません。

もともとはこの神社はJRの貨物駅のあたりにあったそうなんですが、昭和27年に貨物駅建設のため、いまの場所に引っ越してきたみたいです。

201111203 この神社の境内とすぐ隣の敷地には、神社そのものよりも遥かに目立つ2本の巨木があります。

そのうちの一つが国の天然記念物に指定されている乳銀杏(ちちいちょう)で、「苦竹のイチョウ」という名称がついています。高さが32メートルもあり、なんと樹齢は1200年という凄いものです。左の写真の黄色いほうです。天平時代に聖武天皇の乳母の遺言で植えられたという伝説が残っています。

201111204_3 「苦竹(にがたけ)」というのは場所の名前で、現在はここよりももう少し東に行った地域をさします。

しかし昔はこの辺まで苦竹だったんでしょうね、きっと。でもあまりにこのイチョウが有名になったためだと思いますが、このあたりの住所は苦竹から銀杏町と変わってしまいました。(ついでながら近くには「乳銀杏保育園」だの「メゾン銀杏」だのと、この天然記念物に由来した名前の建物がありました。)

ところでこの「乳銀杏」というのは、枝から「気根(きこん)」と呼ばれる円錐形の突起が垂れ下がっているものを言います。土の中にある訳じゃないのに、それでもこれは根なんですね。呼吸や水分の吸収(空中から)・排出などの根の機能を担っています。

201111205

「乳」という名前の由来は、女性の乳房を思わせるからというのですが、樹齢1200年の銀杏ともなるとやはり1200歳ぐらいのお婆さんの乳になってしまうようです。
他の乳銀杏の画像を検索して見ましたが、もう少し若い銀杏の場合はこんもりした感じで、ここまで萎びてるのは珍しいようです。(クリック>別アングルの写真

当然のように、母乳がよく出るようになるというご利益もあるみたいで、祈願する若い母親の姿もよく見られるという話です。

もう一つの巨木は境内にあるケヤキの木(クリック>写真の左)。樹齢は200年とイチョウに比べれば若いんですが、仙台市の保存樹木に指定されていて、仙台市が市制施行88周年の時に選定した、仙台の「名木・古木88選」にも選ばれています。

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2011年11月19日 (土)

雑音混ぜてCDコピー防止 ~ニュースの落ち穂拾い Watch What Happens

20111119 昨日の読売オンラインの記事で、「DNP、音楽の違法コピーを抑止する電子透かし技術を開発」というのがありました。
DNPとは何ぞや、TNP低燃費の親戚であろうか?と思ったら・・・大日本印刷のことでした。

これはいわば研究発表のようなもので、実用化されるとかましてや規格化されるとかいう話ではありません。なのでどうでもいいような話題なんですが、どうせネタ不足ですし、ちょっと読んでみましょう。以下に簡単にまとめてみましたが、私の解釈が間違ってるかも知れませんので、正確な情報が知りたい方は、上にリンクした読売の記事にあたってください。

この技術というのはかつてのCCCD(コピーコントロールCD)と方式は異なりますが、似たような目的を持つCDのコピー抑止の技術です。CCCDがCDのデーター内にエラーを付加することで、PCなどでの再生を邪魔するのに対して、この新しい技術は音楽信号そのものに変更を加えることで、MP3やWMAへの圧縮を邪魔する技術のようです。2つのやり方があって、いずれも耳の錯覚を利用しているようです。

その1 低音部をいじる

mp3やWMAなどの圧縮フォーマットでは低音部を切り捨てます。20Hz~200Hzが切り捨てられるそうです(と記事には書いてありますが、ここちょっと疑問)。
このDNP方式では切り捨てられる部分に含まれてる音楽信号と同じ物を、周波数を高く変調して音量を小さくし、切り捨てられない200Hz~400Hzの周波数帯域に付加します。
これを普通にCDプレーヤーで再生した場合、200Hz~400Hzにおかれた周波数を高くした信号は本来の音楽信号(20Hz~200Hz)にマスキングされて聞こえなくなるのだそうです。
マスキングと説明されてるのですから、これは電気信号の話ではなく実際にスピーカーから出てくる音楽信号の話だろうと思います。なんかびっくりですが、さんざん実験したんでしょうから、きっと本当なんでしょう。倍音なら音色の変化として現れるわけですが――

それで圧縮フォーマットにコピーした場合ですが、本来の信号は圧縮時にカットされますから、周波数を高くされた部分だけがいわば雑音として聞こえてくることになります。

どうもよく分らないのですが、読売の記事を読む限りではこれは音響の話だと思うのです。少なくとも記事にはそう書いてあります。でも音響の話だったら機器によって周波数特性は違いますし、そもそも圧縮フォーマット次第で、カットする周波数が変わってきた場合は、とてもおかしなことになると思います。もし私の理解が間違ってたらすみません…

その2 高音部をいじる

同じように高音部にも、圧縮でカットされる周波数帯域(12kHz~18kHz)と、その下のカットされない帯域(6kHz~12kHz)に、本来の音楽信号にわざと強弱を加えた妨害雑音成分を、ただし強弱の関係を逆にして埋め込みます。
圧縮でカットされると、カットされない範囲の部分の妨害雑音がのこります。それは分かります。
ところが普通のCDプレーヤーで再生した場合ですが、この強弱が逆の音が同時に再生された場合、人間の脳が強弱変化を平準化しようとする補完作用をするんだそうです。それで、それぞれを打ち消し合うようなのです。
これもなんだか信じられません。周波数が違ってるのに、そんなに上手く補完作用が働くものなのでしょうか?
.
.
さらに問題はこれが電気的な処理と言うよりも、音響的な錯覚に多くを負っているということです。人間の耳は千差万別、高音部、低音部が極端に鈍い人もいます。普通にCDプレーヤーで再生しても低音、高音が聞こえにくい人には影響は出ないのでしょうか?

また雑音を可聴帯域に埋め込んだ場合、音色に違いが出てくるのではないでしょうか。雑音自体はマスキング効果等によって聞こえなかったとしても、音色への影響は必ずやあるものと思います。

まあ、いずれにしてもかなり実験したんでしょうから、きっと正しいのでしょう。私の理解に何か間違いがあるのかも知れません。それはそれとして、やはりこの方式は変だと思います。せっかく開発したDNPの方には失礼ですが、これを採用するレコード会社があるとはとても思えません。

***

これは方式の問題ではなく、読売の記事の問題なのですが、「音楽コンテンツの違法コピーを抑止する」と書いてあります。このDNP方式はどう読んでも違法コピーかどうかとは無関係に、圧縮フォーマットへの変換を邪魔する方法であろうと思います。
言うまでもなく私的利用のコピーは違法ではありません(著作権法第30条)。ただしデジタル・コピーのできる機器及びメディアは私的録音補償金対象となり、補償金を支払わなければなりません。
これに違反したものや、私的録音ではなくコピーを他人に譲渡したり、公開した場合などが違法になります。(正確に言えばP2Pでのやりとりは違法アップロード・ダウンロードの問題であり、違法コピーの問題ではありませんが。)

モバイルの音楽プレーヤーに録音する場合、圧縮して入れるのが普通だと思いますが、その行為自体は無論違法ではありません。音楽プレーヤーが私的録音補償金を払っているかどうかはメーカーの問題であり、消費者の問題ではありません。音楽を入れたものを、他人に売ったりしたら勿論違法です。
DNP方式がどうやって違法コピーか否かを判断するのか、ぜひとも読売の記者の方に教えていただきたいと思います。

仮にCDがこの方式をとって発売された場合、iPodやWalkmanには圧縮フォーマットで変換して入れられないことになります。となると誰もCDを買わなくなるのではないでしょうか?ひたすらiTunes Storeに儲けさせるための方式のように思えます。
AmazonやHMVなどのCDの通販サイトでは、多くの商品(CD)で音楽の一部分を試聴用に提供していますが、これはmp3やWMAであろうと思います。それも不可能になります。

本来違法コピーが問題になるのは、CDをリッピングしてインターネットでやりとりすることと、CDを複製して販売するという行為だろうと思います。前者はともかく後者に関してはWAVで吸い出してCDに焼くわけですから、圧縮は関係ありません。

おそらく開発した方は、音楽をあまり聞かず、今の主流の音楽聴取の実態もよく知らない方々なんじゃないでしょうか。
仮にこの方式が採用されることがあったとしても、結局いつものように善意の消費者だけが迷惑を被り、音楽産業は衰退し、アメリカでは訴訟を起こされ、いったい誰得なんだということになるかと予想します。

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2011年11月18日 (金)

エウロパの湖 ~ニュースの落ち穂拾い Watch What Happens

20111118_europa_moon エウロパといえばヨーロッパという名前の由来となったギリシャ神話の登場人物ですが、ティツィアーノの絵やサリエリのオペラでもおなじみです(まあサリエリのオペラ自体が「おなじみ」かどうかは疑問がありますが)。

木星の衛星の一つにもこのエウロパという名前が付いていて、その「衛星エウロパ」は厚い氷に覆われています。その氷の内部に湖があるらしいという話です。

米航空宇宙局(NASA)は17日、木星の衛星エウロパの表面を覆う氷の下に、米国の五大湖に匹敵するような巨大な湖がある可能性を示す新たな証拠を見つけたと発表した。米テキサス大のチームによる木星探査機ガリレオを使った観測で分かった。水は、生命誕生に欠かせない条件とされる。チームは今回の研究で「生命が存在する可能性が高まった」としている。
(共同通信)

木星探査機の名前がガリレオですが、実はこの「エウロパ」はガリレオ・ガリレイが発見した衛星です(子供の頃ガリレオ・ガリレイだって!なんて変な名前と思っていました。よもやその後ユルゲン・ユルゲンスだのエリック・エリクソンだのに出会うとは)。ガリレオが発見したということは、その時代の低性能の望遠鏡でも観測できるほど大きな衛星だということになります。現代なら双眼鏡でも見えるのだそう。

ガリレオ発見の木星衛星は4つもあって、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと名付けられています。
なぜみんなギリシャ神話登場人物の名前なのか。
これは木星がジュピター(ユピテル=ゼウス)なのでそれに付き従う衛星ということで、ジュピターの愛人の名前を命名したんだそうです。命名者はガリレオではなくてシモン・マリウスというドイツの人。ガリレオと同時期にやはりこの4つの衛星を観測した人だそうです。

エウロパを覆う厚い(100kmぐらいと推定)氷の下は、海になっていると推測されていて、「地球の海洋深部にあるような熱水噴出孔も存在すると考えられている」(Wikipedia)のだそうです。水とエネルギー源があるので、当然生命の存在も可能性としては考えられていました。

なので水がある事自体と、生命の可能性ということは、全然新しいものではありません。では何がニュースなのか?
今回の発表の意味というか「湖」の意味は、この共同の記事だけでは全然つかめないのですが、添付された想像図を見るとなんとなく理解できます。

つまりどうやら100キロにおよぶ厚い氷の内部に、巨大な湖が封じ込められているということなのだろうと思います。氷に囲まれていたら凍ってしまうと思いますが、それが凍らないということは何があるのでしょうか?
(1)エウロパは強い潮汐力が働いていて、それによって発生する熱で深部は海になっているものと考えられているそうです。従って同じ力がこの湖にも働いている。
(2)単純に底で海とつながっている。
などが想像できますが、他にもあるかも知れません。この図だと(2)みたいに描いてありますね。海がややオレンジっぽくなってるのは熱ということでしょうし。

いずれにせよある程度掘って湖に到達すれば、100キロ掘って海まで行かなくても生命の確認とかできるかもしれないということですね。

いろいろ調べてたら、ナショナル・ジオグラフィックにもっと詳しい記事が載ってましたので、関心のある方はこちらを御覧ください

今回存在の可能性が指摘された湖は衛星の表面から3km下になるそうですが、この研究をしたテキサス大学オースティン校地球物理学研究所の上級研究員ドン・ブランケンシップ氏によれば「湖の水が(衛星表面の)わずか数十メートル下に存在する可能性もある」とのことです。

※エウロパの画像はWikipediaからです。

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2011年11月17日 (木)

EBeanS 明日18日に再オープン

20111117_ebeans1 仙台駅前の「イー・ビーンズ」のビルは、震災で大きく損傷し、改修工事が行われてきました。このほどおおむね終了し、明日一部を除いて新装オープンします。(1、2階のファッションフロアのみは来春のオープンになるそうです。)

解体工事については6月6日の記事でお伝えしましたが、その時は
>工事は本館(仙台駅側)の4階以上を完全に解体した上で建て替えを行い、また新館部分も全面的に改修するというもの。そこまでやるんだったら全部取り壊して新たに立てればいいのにとも思いますが、そういうもんでもないんでしょうか??

なんて書いちゃったんですが、私すっかり誤解してました。4階以上をいったん解体して、また建設するんだと思ってたんです。先日仙台駅前を通ったら、工事用の覆いがとれたイー・ビーンズのビルが姿を現してたんですが、4階以上は完全になくなっていて、本館は3階建ての低層の建物になっていました。
よく考えてみたら当然ですよね。取り壊しが必要なほど揺れたビルの上に、新たに建築物をくっつけたりしたら、こんどこそ大地震で倒壊しかねない訳で…。う~、、、考えれば判るものを、なんて馬鹿だったんでしょうか…

ま、そんなことで、このビル本来なら4階に当たる部分は屋上となって、新たに屋上ガーデンやイベント・ステージなどが設けられました。先ごろオープンしたEDENとあわせて、いま仙台駅前は低層ビル流行りです。

20111117_ebeans3 さて新館もふくめて新装オープンするビルの中身ですが、まず本屋さんのジュンク堂書店がなんと4フロアを使うことになりました。(これまでは2フロアだった。)そのうち1フロアには丸善も同居するようですが、こちらは本は扱わず文具専門になるようです。
ジュンク堂はこれで仙台駅前に3つの店を構えることになるんですが、こんな狭いところに所に集中的に3店舗も出すって、どういう戦略なんでしょう?

さらに喜久屋書店の漫画館が1フロアをつかいます。コミックの他にフィギュアやグッズ、画材なども扱うようです。
100円ショップとドラッグストアは撤退、楽器店は残り、なんだかちょっとした文化ビルに。
工事中の1階中央入り口の様子を覗いてみたんですが、いままでとはガラっと雰囲気が違います。ニューヨークのビルによくあるパブリック・スペースみたいなのを目指してるのかも。

もう一つ期待してるのはこれです>クリック!
しょぼくないといいんだけど…

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2011年11月16日 (水)

ワルターの「大地の歌」(後)~思い出の名盤・43

20111115_walter_2 (昨日の続き)

青春について~第4楽章

そのルードウィヒの最初の「大地の歌」録音が、クレンペラー指揮のEMI盤。テノールはフリッツ・ヴンダーリヒ。
これは「盤」じゃなくて「紐」で――オープンリールのミュージック・テープで購入しました。輸入盤のテープがYAMAHA仙台店で500円でバーゲンになってたのです。

当時のレコードというのは、内周になるに従って音質が悪くなると言われていました。テープの場合は線速度一定ですからその弊害はありません。そのため片面30分ぐらい入ってる曲の場合は、テープで購入するオーディオマニアも多く、オープンのミュージックテープも結構発売されていたのです。私もベームのモツレクなど、わざわざLPではなくテープで買ってみたりしました。

ヤマハが何故500円バーゲンをやったのかは判りませんが、当時はちょうどカセットテープへの移行期。オープンは売れなくなっていたんだと思います。輸入盤の場合は再販制度の枠外ですからいくらでも安く出来るわけで、たとえ損してもさっさとさばいてしまって、カセットのミュージックテープなど別の商品のためにスペースを空けたいということだったんじゃないかと思います。たぶん。

バーゲンでなかったら買うことも聞くこともなかったと思いますが、聞いてみたらこれが大当たり。まずヴンダーリヒの美しく伸びやかな歌声の気持ちのいいこと!ベームの「魔笛」とどちらを先に聞いたか覚えていませんが、どちらもその美声にノックアウトされました。
そしてルードウィヒの上手いことと言ったら。いかにフィッシャー=ディースカウが名手でも声の対比という点で、やはり女声で聞きたいという時はあるわけで、そんな時F=Dに対抗できるのはこの人だけではないかと思いました。
「Junge Mädchen 若い娘たち」という言葉で入る第4楽章など、バリトンで聞くとどうしてもスケベ親父的な感じがぬぐえないので、やはりそういうところはメゾですかねえ。

クレンペラー指揮のニュー・フィルハーモニアの演奏は、当時は特に何も思いませんでしたが、今あらためて聞くとちょっと普通のロマン派音楽になってるのかなという気がします。バーンスタインがくっきりと浮かび上がらせる特徴的な音型や、管楽器のソリなどが、クレンペラーだと埋もれ気味なのかなという感じが。

春に酔えるもの~第5楽章

次に買ったのがコリン・デイヴィス指揮のもの。ジョン・ヴィッカースとジェシー・ノーマンの独唱。
ノーマンは一般的にはスーパースターですが、F=D的なあるいはシュワルツコップ的な、詩の背後を隅から隅までくまなく探っていくような歌ではないので、ドイツ・リート好きにはあまり評価されない傾向があるような気がします。しかし彼女のストレートな歌い口は、音楽がベチャッとならずにいつも凛々しく屹立してるので、私は好きです。もちろんストレートなだけでは「ただの大声」になりかねないので、彼女の声が持つあの巫女的な――一種のカリスマと言うんでしょうか、大地の底から湧いてくるようなあの美声の魅力があってこそなのですが。

しかしこの録音でノーマンよりも印象的だったのはヴィッカースでした。というかこれを買ったのはヴィッカースも目的だったのです。79年のコヴェントガーデン来日公演で、感動的なピーター・グライムズを演じたヴィッカースに、この生は暗く、死もまた暗い曲は絶対に合うはずと当たりをつけたのです。正解でした。キングやヴンダーリヒのような美声ではありませんが、あの個性的な声と歌い方がこの変な曲には逆に魅力となってはまっていたのです。

ノーマンはこのLP発売時にはまだ来日前で、日本ではあまり人気はなかったと思いますが、三谷礼二さんが彼女の、特に「大地の歌」を絶賛していたので、音楽好きにはノーマンの「大地」録音を鶴首する人は多かったのではないかと思います。
彼女はこのあと90年代にレヴァイン指揮ベルリン・フィルとライヴ録音していますが、実はその前にバーンスタインと録音する計画がありました。二人のスケジュールをなかなか合わせられないでいるうちに、バーンスタインが亡くなってしまい、結局実現せずに終わりました。これは本当に残念です。

告別~第6楽章

LP時代に買ったものはそんなところでしょうか?
CD時代に入ってからも色々聞きました。インバルのはシュライヤーが軽すぎるような気がしました。ジュリーニのはファスベンダーが上手いし良い声なんですが、何か違う感じ。ベルティーニのはヘップナーとリポウシェクが素晴らしくこれは名盤だと思います。そういえばカラヤンがバルツァとやったコンサート・ライヴの放送は、バルツァが最後のEwigを1回余計に歌ってしまって話題になりました(私は聞いてません)。フェリアーがワルターとやった時に、Ewigで涙ぐんでしまい声が出なくなったという逸話があるそうですが、余分に歌うとは…。
シノポリ盤はコンサートで成功したW・マイアーを起用しなかったのでガッカリしていたら、代り(?)のフェルミリオンが素晴らしく魅力的な声で驚き。彼女は3月にインバル指揮都響の公演で歌う予定ですから、東京の方は是非どうぞ。私も3月でさえなければ行くんですが…

などなどを聞いていましたが、そのうちなんだかしんどくなって、マーラーそのものをあまり聞かなくなりました。
いま一番期待しているのはアバド&ベルリン・フィルの今春のライヴが、発売されることでしょうか。DGさんぜひお願いします。BPOのデジタル・コンサートホールを見た人の話では、これまでのアバドの全マーラーの中で一番良いというんですが…

Ich suche Ruhe für mein einsam Herz.
Ich wandle nach der Heimat, meiner Stätte.

Ich werde niemals in die Ferne schweifen.
Still ist mein Herz und harret seiner Stunde!

Die liebe Erde allüberall Blüht auf im Lenz
und grünt aufs neu!
Allüberall und ewig Blauen licht die Fernen!
Ewig... ewig...

私の孤独な心は、癒すべく憩いを求めゆき
歩み行く彼方には、私が生まれし故郷あり

私は二度と漂白し、さまようことはあるまい
私の心は安らいで、その時を待ち受ける

愛しき大地に春が来て、ここかしこに百花咲く
緑は木々を覆い尽くし 永遠にはるか彼方まで
青々と輝き渡らん
永遠に 永遠に……

※訳詞は Wikipedia のものを若干直しました。

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2011年11月15日 (火)

ワルターの「大地の歌」(前)~思い出の名盤・43

20111115_walter大地の哀愁を歌う酒の歌~第1楽章

若い頃というのはどうして「生は暗く、死もまた暗い」なんてクサい文句に惹きつけられるんでしょう?
タモリがよく「子供の頃は無意識だった」とか言ってますが、それは凄く良く分かる表現です。無意識で生きてるというか、私も未来とか将来とかについては何も考えてないポワ~ンとした子で、受験勉強なんかしたこともなかったし、多分大学生ぐらいまでポワ~ン状態が続きました。

人生はどう考えても暗くはなく、死なんて考えたこともなかったのですが、にもかかわらず「大地の歌」の冒頭には非常にショックを受けました。歌詞に付けられた音楽が、例えばワーグナーの幾つかの旋律のように悲劇そのものというような暗く美しいメロディなら、わかりやすかったと言えます。ところがマーラーときたら、『なんじゃこりゃ』なのです。金管は吠えてるし、弦は必死だし、テノール歌手もイタリア・オペラの愛のアリアなんかより100倍ぐらい激しく「大地の哀愁」を歌っているし。これに魅せられずにいられるでしょうか。

「大地の歌」を初めて聞いたのは高校生になったばかりの頃で、すぐに夢中になりました。友人がワルターがウィーン・フィルとデッカに録音したモノーラル盤を持っていたので借り、私はCBSのステレオ盤を買いました。
当時の私はオーディオ小僧だったので、やはりステレオ盤のほうをよく聴いたと思います。特にテノールの楽章は、パツァークよりヘフリガーが好きでした。
今ステレオ盤は手元にないのですが、あらためてモノ盤を聞きなおしてみると、やはりフェリアーの歌は素晴らしいですね。ワルターが彼女の歌をこよなく愛したというのもわかります。

ワルターのSP盤は結局購入せずじまいでしたが、昔FM放送でその一部を聞いたことがあります。戦前のウィーン・フィルの素晴らしい音色、そしてトルボルイの歌の品格。それらはしっかりと感じ取れましたが、やはりちょっと録音がつらかったです。

秋に寂しき者~第2楽章

それからしばらくして大評判になっていたバーンスタインの旧盤を買いました。
フィッシャー=ディースカウが歌う偶数楽章の異常なほどの上手さに唖然としました。ジェイムズ・キングの若々しく情熱的な歌も素晴らしく、私にとっては「大地の歌」といったら、いまもってこの盤がナンバー・ワンなのです。F=Dも60年代だから可能だった歌で、70年代に入ってしまったらもうこの声の力は失くなってしまったことでしょう。第4楽章とかちょっとオヤジっぽいかなという感じはありますが。

そしてバーンスタインと60年代のウィーン・フィル。上手いというか、音色の素晴らしさが尋常ではない感じ。哀愁とか寂寥とかを描くのであれば、日本人だったら墨絵でしょうし、音楽なら尺八か横笛の独奏だろうと思います。ところがマーラーさんときたら絢爛たる大管弦楽。
バーンスタイン&ウィーン・フィルによる演奏はすべてのフレーズが表現的で(無論ウィーン・フィルなので、ガサガサした表現主義ではなく甘美でメロウな音色ですが)、日本人が感じる寂寞感とは正反対のところにあります。もちろんこれこそがマーラーの表現であり、バーンスタインは最高です。
ただ墨絵のマーラーではいけないんだろうとは思いつつ、その一方で小澤さんが日本のオケを振ったのを聞いてみたいなという気持ちもなくはありません。

バーンスタインはご承知のように、イスラエルフィル、ルネ・コロ、クリスタ・ルードウィヒと再録音しました。これはまず録音が少し変でした。当時CBS SONYが推してたSQ4チャンネルによる録音で、SQで聞けばよかったのかも知れませんが、2チャンネル・ステレオで聞くと、いまいち分離もヌケも悪くがっかりさせられました。
コロとルードウィヒも他の指揮者との録音の方が良かったように感じました。

青春について~第3楽章

次に聞いたのがFMで放送されたカラヤンのライヴでした。ルドウィク・シュピースとホルスト・ラウベンタールという二人のテノールを楽章ごとに使い分けたもの。この『思い出の名盤』シリーズの4番の回でも触れたものです。
この演奏についてはFMで聞いただけですし、演奏の特徴などはもう覚えていませんが、とりあえず二人のテノールというのに大変に驚きを覚えました。

三浦淳史さんによりますと、この奇数楽章と偶数楽章は相聞歌になってるんだということですが、だとするとテノール二人というのはやはりありえない処置なんだろうと思います。それじゃあバリトンの起用はどうなるんだということですが、これはバーンスタインだから相聞歌という解釈でもOKなのです。MTTの場合も。

ただ私は相聞歌という解釈にもちょっと腑に落ちないものがあるのです。そうとらえるには第5楽章と第6楽章の分量に差がありすぎますし、「告別」の歌詞の内容にも少し違和感を覚えます。

このカラヤンのライヴで歌ってるのはクリスタ・ルードウィヒで、彼女はその後コロと共にカラヤンとスタジオ録音します。さらにバーンスタイン新盤でも歌ったわけですが、もう一つ彼女は60年代にも録音があります。そしてこれが素晴らしいのです。
(続く)

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2011年11月14日 (月)

最もカッコいい映画音楽Best 5

20111113 昨日のエントリの後半に、政党別得票数、地元紙の河北新報からの引用などを追記しました。
なお宮城県以外の方は、読んでもしょうもないかもしれません。あしからず。

さて・・・今日は何も書くことがありません。マジありません。
落ち穂拾いのできるニュースすらないみたいです。
そこで60~70年代の映画から「最もカッコいい映画音楽Best 5」を決めてみました。

最も優れたではありません、名曲というのでもありません、最も美しいでもなく、映画の中で効果的に使われたかどうかも関係なく、ただひたすらカッコいい映画音楽はこれだ!というのを。
あ、でもちょっと待ってください。

モノクロのお洒落な場面に洗練されたジャズを。SFに前衛音楽まがいの曲を。スピード感あふれる場面にノリノリのロックを。そんなのは全然かっこ良くありません。むしろ「あたりまえ」と言えます。
カッコいいというのはそういうのではありません。本当にカッコいい映画音楽とは、これだ!

第1位 「パピヨン」 ジェリー・ゴールドスミス 
第2位 「怒りの荒野」 リズ・オルトラーニ 
第3位 「冒険者たち」 フランソワ・ド・ルーベ 
第4位 「冬のライオン」 ジョン・バリー 
第5位 「南から来た用心棒」 フランチェスコ・デ・マージ  

作曲家名の後のカラーの丸をクリックすると YouTube に飛びます。

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2011年11月13日 (日)

宮城県議会議員選挙

20111113 (11月14日 後半に政党別得票数などを追加しました)

東日本大震災で約7ヶ月延びた宮城県の県議会議員選挙は、きょう投票が行われ即日開票されました。
23選挙区のうち6つの選挙区9議席が無投票になり、残る17の選挙区であわせて50の議席が争われました。

確定の投票率は41.69%、県議選では初めて50%を割りました(前回平成19年より△8.76ポイント)。これが何を意味するのか正確には分からないんですが、もちろん震災は影響してるものと思われます。地元を離れてる人も多いでしょうし、投票所から遠く離れた仮設住宅に住んでいて選挙なんか行く気にもならないという人もいたでしょう。くわえて基本的に投票率は下落傾向というのもあるかと思います。明日あたりの地元紙で詳しく分析してくれるかも知れません。

選挙の第一のテーマは復興ですが、議席数に関しては、これまで議会の過半数を確保していた自民党が今回も過半数の30議席を維持できるか、民主党は減るのか、初参戦のみんなの党が議席を獲得できるか、沿岸部の被災地がどのような回答をだすか、などが焦点となっていました。

NHKローカルの選挙特番によりますと、さきほど全ての選挙区で議席が決まったようです。NHK開票速報によりますと、

自民 28(34) ■ 民主  7(9) 公明  4(4) 共産  4(2) 社民  3(2) ■ みんな 2(0) ■ 無所属11(9) 

となりました。(括弧内は改選前の議席数)

自民党は28議席ですが、推薦候補も含めるとなんとか30議席の過半数を超えました。
最後まで議席が決まらなかったのは、石巻・牡鹿選挙区で、ここは議席数5なんですが、津波で地盤がズタズタになった自民・民主の現職議員が苦戦、共産がはじめて議席を獲得しました。

明日は早起きしないといけないので、ここまででもう寝ます。明日の午後にでも詳細と、もし地方紙による結果についての分析が出てれば追記します。



政党別の得票数と得票率は以下の通りです。(なお四捨五入の関係で得票率の合計は100%になりません。)

自民  246190 (37.4%)
民主   87108 (13.2%)
公明   45587 ( 6.9%)
共産   48270 ( 7.3%)
社民   23504 ( 3.6%)
みんな  37590 ( 5.7%)
無所属 169927 (25.8%)

自分が書いておいてなんですが、自民と民主以外はむしろ候補者を立てていない選挙区の方が多いわけで、実はこの得票率の数字にはあまり意味はありません。まして県議選の場合は、先に行われた仙台市議選にくらべても、さらに地縁血縁の要素が濃かったりするので。
でもまあ一応、こういう数字を必要とする人もいるかも知れないと思い、計算してみました。

ということでじつは数字では傾向をつかめないので、今日(14日)の地元紙の分析に期待しましたが、特に見るべき記事はなかったように感じられました。

民主が苦戦を強いられたのは、震災後の不安定な政権運営に尽きる。震災後8カ月たっても、生活再建や地域復興の道筋は示されず、被災者のいら立ちは怒りに変わったと言える。
 党県連は地域ごとの戦略を打ち出せなかった。連合宮城との共闘もちぐはぐで、組織運営の抜本的見直しが迫られる。

(河北新報)

仙台選挙区を例に取り、「政党の消長鮮明に 堅調自民、崩れた民主」という論調です。県内全体で見ると自民も改選前より議席数は減っていますが、今回の選挙では定数が2削減されてるので、実は単純には改選前議席数と比較はできません。

引用した河北新報の論調が合うのは石巻・牡鹿選挙区(町が壊滅した女川町を含む)かもしれません。
この選挙区は昨日も書いたように、自民と民主の現職が苦戦を強いられました。全選挙区のうち、ここが最後の最後まで最後の一人の当確が出なかったんですが、民主の現職二人と、自民の現職一人が5議席のうちの最後の一つを争っていたからで、結局民主の現職が当選はしました。地盤が津波でズタズタ、非常に多くの人々が他地域に流出してしまったということが大きいわけですが、もちろん他にも原因はあります。

特に民主党。この選挙区5議席に対して7人が立候補したうち、民主の候補は共に現職でありながら5位と7位。
選挙終盤には宮城選出の安住大臣も応援に駆けつけました。これがむしろ逆効果だった可能性も拭えませんが、もちろん本質的な問題ではありません。石巻・牡鹿の結果を民主党は真剣に考えてみるべきだろうと思います。

なお今回の選挙ではなぜか元議員が全員(6人)返り咲きを果たすという面白い現象がありました。理由はわかりません。

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2011年11月12日 (土)

昨日の続き(あるいは地球内部の不連続面の名称について)

20111112 せっかくなので昨日に続いて本日も地球の内部について、お勉強してまいりましょう。

外核は鉄・ニッケルなどが液体となって流れているのだけれども、これが密度の違いによってニ層に分かれているらしいというのが昨日の話でした。

その下の層は当然内核に接しているわけですが、この内核というのは少しずつ膨張してるらしいのです。
これは何故かというと、熱は高い方から低い方へと移って行きますから、外核の熱はマントルへと移ります。流体金属が固化するのは圧力が高くなるか、温度が低くなるかですから、外核が冷却されればより圧力の高い内核に接してる面から固化していくことになります。(これを内核が成長しているというらしいのですが、私は外核の内核化とでも言ったほうが分かりやすいんじゃないかと思います。)――というふうに理解したんですが、本当にそれでいいのかは自信がありません。

20111111 それで内核の成長はなんと!1年に1ミリなんだそうです。ということは外核の厚さはおよそ2266キロメートルなので、2226キロ=2226000メートル=222600000センチ=2226000000ミリなので、このまま進むとあとわずか22億年で地球の外核は全部内核化しちゃうかもしれません(!)。
地球の磁場は流体金属が外核を対流して渦電流を発生させてることから起きます。電気が流れると周りに磁場が発生するというのは、たぶん中学校ぐらいで習いました。
外核が全部内核化したら、磁場を発生させるものが無くなりますから、地磁気は消滅します。ガ~ン…逆転どころの騒ぎではありません。

この内核と外核の境を「レーマン不連続面」と言います。レーマンさんというデンマークの地震学者が発見したことによります。地震波の伝わり方の違いで判ったのだそうです。

そして外核とマントルの境は「グーテンベルク不連続面」と言います。もちろんグーテンベルクさんが発見したからですと言いたいところですが、何がなんだかよく判りません。発見したのは Gutennberg さんという人ですが、この人アメリカ人なのです。だったらグーテンバーグじゃないの?と思ってグーテンさんについて調べてみました。

なんと驚いたことに、というか驚くまでもないことにと言うか、このかたはドイツ生まれ(1889年ドイツ帝国生まれ)。ストラスブール大学で働いていた所、ストラスブールがフランス領となったため失職。1926年にフランクフルト大学の助教授となったものの、ユダヤ系だったため待遇は低く、やがてアメリカに移住。1930年にカリフォルニア工科大学の教授となります。「グーテンベルク不連続面」の発見は1926年なので、まだドイツ人だった頃なんですね。こちらも地震波の伝わり方の違いで判ったそうです。

これに対してマントルと地球の地殻の境界面は「モホロビチッチ不連続面」と言います。こちらも地震波の伝わり方の違いで判ったのですが、地表に近いだけに発見が早くて1909年のこと。モホロビチッチさんによるもので、クロアチアの地震学者だそうです。
名前が長いので日本では略して「モホ面」とも呼ばれます。面は必ず《メン》と発音してください。《ツラ》ではありません。モーホ面(づら)なんて発音してはいけませんし、ましてや変に略してモーホビッチ面(づら)などとは決して言わないように。近くに該当者がいたら大騒ぎになります。

モホ面の深さですが Wiki によれば「モホ面の深さは大陸部で深く、大洋底で浅い。海洋底では地下約5~6kmの場所にあり、大陸では地下約25~75kmの場所にある」とのことです。まあそりゃ当然ですよね。
外核が流体金属でできているのに対して、モホ面とグーテンベルク不連続面に囲まれた部分、すなわちマントルは岩石でできています。
で、このマントルの最上部が圧力・温度・その他の条件で部分溶融を起こしたものがマグマで、しばしば噴出しておなじみです。

マントルは超苦鉄質岩からなります。《ちょうくてつしつがん》超苦鉄質岩!!な、な、なんでしょうかこの凄い名前は。そんなにも苦しいのでしょうか、鉄が??

超苦鉄質岩は「ケイ素が少なく、そのほとんどが苦鉄質鉱物からなる岩石」を言うようです。「超」がついてるのは、どうやら『そのほとんどが』という意味でつけられた英語の「ウルトラ」に対応する訳語としてついたみたいです。(超苦鉄質岩でultramafic rock)

苦鉄質鉱物というのは苦鉄質の多い鉱物のことで、「苦鉄」というのは鉄とマグネシウムのことのようです。
マグネシウムは日本語では「苦土」とも言われ、これは酸化マグネシウムが苦い味がすることからついたのだそうです。ちなみに酸化マグネシウムは下剤として使用されています。

それにしても。我ながら知識がないってなんて辛いことなんでしょう。たかだかネットニュース一つ理解するのにも二日がかりだなんて・・・

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2011年11月11日 (金)

地磁気が逆転する原因が判明・・・したかも

2011111 地球には地磁気というものがあり、北極付近にS極、南極付近にN極がある。だから磁石の針は南北を(磁性体としての地球のNS極とは逆に、Nが北をSが南を)向くのだということは小学校で習いました。洗面器だかバケツだかに水をくんで棒磁石を浮かべたりしたんじゃなかったでしょうか。でも私達が小学生の頃には、実はN極・S極は固定されたものではなく、逆転してる時代もあったのだなどということは習いませんでした。

なので後にNとSが逆転してた時代もあったのだという話を聞いたときには、ちょっとクラクラめまいがするほど驚きました。《それはいったいどういうことなんだ?》&《逆転すると磁石の向きが変わる以外の何が起きるんだ?》&《何故そんなことが起きるんだ?》の疑問で、頭の中は???の嵐。
しかし意外にも地磁気の反転が観測されたのは、新しいことではないのですね。

Wikipediaによれば、現在とは逆向きに磁化された岩石が発見されたのは、なんと1906年。
特に重要な発見は日本人によるもので、1926年に京都帝大(現在の京大)の松山基範教授が、兵庫県・玄武洞の岩石が逆向きに磁化されていることを発見。3年後の1929年に地磁気逆転の可能性を示す論文を発表したそうです。
松山教授の説は発表当時は世界中から完全無視されたそうですが、現在はもちろん常識になっていて、二百数十万年前から七十数万年前にいたる逆転期は「松山逆磁極期(Matuyama Reversed Epoch)」と名づけられているそうです。

しかし現在は過去に2回逆転の時期があったことは分かっていますが(「松山」と、もう1回は約500万年前から約400万年前の逆転期で「ギルバート」と名付けられているとのこと)、なぜそのような現象が起きるのかは分かっていませんでした。それがもしかすると解明されたかも知れないという話なんですが――

地球の外核は2層構造=地磁気反転の原因か―高温高圧で再現・東工大など

地球の中心部にある液体状に溶けた鉄などでできた「外核」(深さ約2900~5150キロ)は、これまで考えられてきた均一なものではなく、密度の異なる2種類の結晶を含む2層構造の可能性が高いことを、東京工業大と海洋研究開発機構、高輝度光科学研究センター(兵庫県佐用町)の研究チームが明らかにし、11日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 外核を構成する液体金属は対流しており、地球を取り囲む地磁気の源になっている。地磁気は数万~数十万年に1度の割合でN極とS極が反転するが、2層構造と仮定するとこの逆転現象を説明できるといい、研究チームはシミュレーションを進める。
 東工大の広瀬敬教授らの研究チームは、ダイヤモンドとレーザーで高温高圧を作り出す装置を開発し、地球内部の状態を再現。外核の主成分の一つ、酸化第一鉄(FeO)を227万~324万気圧、約4000度の外核と同じ条件にし、同センターの大型放射光施設「スプリング8」で結晶構造の変化を調べた。 

(時事通信)

ふんふん、なるほど。そうか、そういうことね。――などと言ってみたいものですが、なんか全然解りません。
20111111 ちょっと地球の構造についておさらいしてみましょう。図はWikipediaから借りました。

一番中心にあるのが内核。その外側が今問題になっている外核です。内核と外核は共に鉄やニッケルからなっていますが、内核は固体で温度は5000度から6000度と見られているらしいです。
外核は同じく鉄やニッケルですが流体で、温度は4400度から6100度ぐらい。
なぜ内核は6000度でも固体なのに、外核は4400度で流体なんだという疑問がわくかもしれませんが、これは圧力が関係してるのですね。内核はあまりにも圧力が高いためにこんな高温でも固体になるようです。

201111111 でその外核は液体金属が対流していて、これが地磁気発生の原因とみなされています。
対流はきっと熱対流なので、左図のようになっているんだと思います。赤いほうが内核で、青い方がマントルです。

これが2層構造ということは、素人考えなので間違ってるかも知れませんが、この図が二段に重なってると考えて良いのかと思います。
2011111_2_2 地場を発生させる要素が二重に、というか二段構えになってると思えばいいのでしょうか?(右図)

で、わからないのは何故2層構造だと地磁気の逆転を説明できる可能性があるのかなんですが、時事の記事にも共同通信のにも読売新聞のにも、そこが説明されてません。どなたかこういうことに詳しい方がいらしたら、わかりやすく教えていただけませんか?

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2011年11月10日 (木)

「ゴーストライター」 ロマン・ポランスキー監督

20111110 ポランスキーがスイスで拘留され、軟禁中に指示を出して編集を完成させた作品としても話題となった、映画「ゴーストライター」を見てきました。政治サスペンスという売り込みでしたが、これはサスペンスと言うよりむしろミステリー映画と言ったほうがよいかも知れません。

息をもつかせぬ危機の連続でサスペンスを盛り上げると言うよりは、主人公が不審を感じ調べていくと次の謎にぶつかり、どんどん深みにはまっていき、後半は追い詰められながら謎が解明されていくというパターン。
そしてミステリー映画にふさわしく、映画の中では常に冷たい雨が降っているか、いまにも降りだしそうな暗い雲の垂れこめた陰鬱な天気ばかり。晴れたシーンはひとつも出てこなかったんじゃないでしょうか。

主人公のゴーストライター役にはユアン・マクレガー。イギリスの元首相(ピアース・ブロスナン)の自伝のゴーストライターを務めることになります。マクレガーとブロスナン。意外な感じがしますが、これがふたりとも適役です。特にブロスナンはいつも大根役者あつかいされがちですが、ここでは表面的であまり中身のなさそうな元首相役にピッタリはまっています。ラスト近くで笑い一発で観客に「えっ!?もしかして違うの?」と感じさせるあたりも実にいいです。
そしてその二人と共に抜群の存在感を示すのが、元首相の妻役のオリヴィア・ウィリアムズと秘書役のキム・キャトラル。オリヴィア・ウィリアムズはこの映画で全米批評家協会賞の助演女優賞を受賞しています。
イーライ・ウォーラックやロバート・パフ、トム・ウィルキンソンなど脇役もいい味を出していて、まもなく80歳を迎えようとするポランスキーの演出力に衰えはないようです。

さてそのブロスナン演じる元首相は現在はイギリスではなく、アメリカ東海岸の孤島に別荘をかまえて住んでいます。島は高級別荘地になっているようで、自家用ジェットの発着場などがあります。そんなの持ってない人はフェリーで渡るしかありません。そのフェリーのシーンで映画は始まるのですが、デスプラの音楽が実に良くて期待を掻き立てられます。
その島で元首相と会ったマクレガーの最初の挨拶は「アイム・ユア・ゴースト」。たんに台詞としてしゃれているというだけでなく、実はユアン・マクレガー演じるゴーストライターの役には名前が付けられていません。脚本の狙いのようです。
で、このゴーストライターが元首相の経歴に不自然さを感じて調べていくうちに、前任者の不審死に気づきます。さらにそれと並行して元首相の戦争犯罪がマスコミによって告発され、騒ぎになっていきます。なぜ無条件でアメリカの戦争に協力したのかが焦点になっていくので、どうしても観客はイラク戦争時のイギリスのブレア首相を思わずにはいられないように誘導されます。

この映画には原作があって「アルハンゲリスクの亡霊」や「ポンペイの四日間」のロバート・ハリス。ハリスはポランスキーと共に脚本にも携わっています。
驚いたことにハリスはトニー・ブレア元首相と大変親しい間柄なのだそうで、そのせいもあってこの元首相の人物像はブレアがモデルなんだろうと見做されているようです。
ポランスキーはスイスに軟禁中、出版前の原作を読み、即座に映画化権の獲得を決めたのだとか。

ロマン・ポランスキーは1977年に未成年の少女に対する強姦など(未成年に対する飲酒の強要、アナルセックスなどを含む)の容疑で逮捕されました。この時は世界中が大騒ぎになりました。彼はいくつかの容疑のうち未成年との性行為に関してだけ認め、とりあえず47日間刑務所に収監された後、保釈中に映画撮影と偽ってヨーロッパに脱出します。
アメリカに再入国すると逮捕されるため、現在に至るまでハリウッドに戻ることは出来ません。「戦場のピアニスト」がアカデミー賞の候補になったときには、その被害者とされる女性(当時13歳だった少女)も「もう許してやってほしい」という声明を出しましたが、アメリカの司法当局は頑として妥協しようとはしません。

しかしこの事件には裏がありました。随分前に本で読んだだけなので、詳細は覚えていないのですが、この被害者とされる13歳の少女モデルというのは、ハリウッドでは有名人相手の少女娼婦として、一部で秘かに有名な存在だったようなのです。
映画スターなど有名人のパーティに出没し売春をしているという噂を警察もつかんでおり、彼女を捕まえようと網をはっていた所、なんと予想外の超大物ポランスキーが引っかかってきたのでした。
彼女の両親はポランスキーを訴えますが、ポランスキーは法廷外では「冤罪であり、彼女と両親の恐喝の対象になっていた」と主張しているようです。アメリカの司法取引は私たち日本人には常識外の事が行われますから、なにか両親との間で司法取引があったのかもしれません。

現実はどうだったのでしょうか?異常なほどに少女好きのポランスキーが、13歳の娼婦に抵抗できるわけもなく、性行為自体はあったのでしょう。しかし強姦というのは多分違うんだろうと思います。相手は有名人を狙っている少女娼婦なのですから。飲酒はあったかもしれませんが強要したかどうかは疑問ですし、アナルセックスというのもなんか奇妙です。相手が少年というのならともかく。
(ただアメリカの法律は知りませんが、日本では13歳未満の場合、たとえ合意であっても強姦になりますので、そういうのがあるいはカリフォルニア州でもあれば、またちょっと違う話になりますが。)

アメリカを脱出した彼はフランスの市民権を獲得し、以後30年ヨーロッパで活動することになります。ナスターシャ・キンスキーを一躍スターにした「テス」、アカデミー監督賞受賞の「戦場のピアニスト」などの名作があります。
事件から32年たった2009年9月に「ゴーストライター」の撮影を終えたポランスキーは、スイスでの映画祭に招かれ、スイスに赴きますが空港に降り立った所でアメリカの要請に従ったスイス当局によって逮捕されます。ゲストとして招待しておいて逮捕するというのも唖然としますが、スイスはその後なぜかアメリカへの引渡し要請には応えず、保釈金を課して自宅軟禁とします。軟禁は10ヶ月におよび、その間スコセッシやウディ・アレン、ワイダ、カーウァイ、トルナトーレなどなど世界中の映画人が抗議しましたが釈放はなされませんでした。

2010年2月、ベルリン国際映画祭が開催され、軟禁中に完成した「ゴーストライター」は、監督が出席できないまま出品され、銀熊賞(監督賞)を獲得します。
そして2010年7月、ようやくスイス当局はアメリカへの身柄引き渡しを却下して、(10ヶ月の軟禁の末)ポランスキーを釈放します。フランスの強力な働きかけがあったものと考えられています。
(釈放後になりますが「ゴーストライター」はその年の12月に発表されるヨーロッパ映画賞でも作品、監督を含む6部門を受賞。フランスのセザール賞でも監督賞を受賞します。)

上に述べたようにこの映画はベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞しています。
たしかにポランスキーの演出力は衰えていませんし、特に雰囲気の醸成の上手さはさすがです。俳優も良く、アレクサンドル・デスプラの音楽も抜群です。大変に楽しめる充実した娯楽作品といえるでしょう。
ただ映画祭での受賞には、ポランスキーに対する同情と連帯、スイスへの抗議・釈放圧力などの意味も強くあったと思われます。
見応えのある作品ではありますが、物凄く感動させる傑作とか、心を揺さぶる名作とかではありません。

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2011年11月 9日 (水)

国内と国外のニュースから

20111109_nasa_2小惑星無事に通過

小惑星は日本時間の今日午前8時半頃、無事に地球の脇(?)を通過したそうです。
写真はNASAから。(NASAがHPで提供している画像は基本的にパブリック・ドメインです。)
なおNASAのページには動画もあります。特に見てもどうってことはないですけど。
以下のURLです。
http://www.nasa.gov/mission_pages/asteroids/news/yu55-20111108.html

房総沖「スロー地震」ほぼ終息か

国土地理院は9日、千葉県・房総半島沖で10月下旬から続いていた、プレート(岩板)境界がゆっくり滑る「スロー地震」について、「地殻変動が収まってきており、今回の活動はほぼ終わった可能性がある」との見方を示した。ただ気象庁の観測では、スロー地震に伴うとみられる体に感じない微小な地震は9日現在も発生しており、地理院は「活動が完全に終わったかどうか、今後の観測データを注視したい」としている。
(共同通信)

群発地震を誘発する可能性もあるなどと言われていたので、とりあえず首都圏の皆さんは少し安心ということでしょうか。私達の方はこれによる揺れはほとんど感じませんでしたが。

20111109ベルルスコーニ辞任を表明

イタリア大統領府によると、ベルルスコーニ首相は8日夜(日本時間9日未明)、ナポリターノ大統領と会談、国会で審議中の財政健全化法案が成立した後に辞任する考えを伝えた。連立与党の「北部同盟」トップのボッシ書記長からの辞任要求に加え、下院での決算関連法案採決で賛成票が過半数に届かず政権基盤の脆弱さが裏付けられ、続投を断念した。ベルルスコーニ政権は任期を約1年半残して崩壊することとなった。
(共同通信)

ようやく辞めるんですね。
ポリーニでしたよね。ベルルスコーニに反対してイタリアに住まずにパリに居るのは。たしかルイサダと同じアパルトマンで、窓を開けてると時々ポリーニが練習してる音が聞こえるんだとか。
それにしてもこれほど傍若無人でスキャンダルまみれの首相ってのも。。。。

写真は Wikipedia からで、ベルルスコーニの離婚問題のきっかけとなった、18歳(当時)の下着モデルの少女ノエミ・レティツィア。

カルミナ・ブラーナでワインが重厚な味に???

音楽を聴きながらワインを飲むと、曲によって味の感じ方に違いが出てくる。英国の研究者がこのような実験結果を発表した。
 実験では250人の大学生(男女半数ずつ)を5つのグループに分け、うち4つは15分間音楽を聴きながら2005年のアルファ・カベルネソーヴィニヨンまたはチリ産シャルドネを飲んでもらった。音楽は力強く重厚なカルミナ・ブラーナ、繊細で洗練されたチャイコフスキー「くるみ割り人形」の「花のワルツ」、活発で元気の出るNouvelle Vagueの「Just Can't Get Enough」、落ち着いていてソフトなマイケル・ブルックの「Slow Breakdown」。残る1つのグループはBGMなしでワインを飲んだ。
 学生にワインの味を評価してもらったところ、カルミナ・ブラーナを聴いたグループは、ワインの味を「力強く重厚」と評価し、Slow Breakdownを聴いたグループは落ち着いていてソフトな味を評価する傾向があり、BGMの影響が見られたという。「実験の参加者は、音楽のイメージと一致する形でワインの味を感じたようだ」と実験を行ったヘリオット・ワット大学の研究者は述べている。ただし、音楽の味覚への影響が文化的なものなのか、音の物理的特徴によるものなのかはこの研究では分からないという。
 研究結果は「British Journal of Psychology」に掲載されている。以前には、レストランのBGMがクラシック音楽の場合、ポップスの場合よりも顧客が長時間店で過ごすという研究結果も発表されている。

(IT Media)

味の感じ方が音楽に影響されるというのは、そりゃまあそうでしょうね。
おそらくこの実験は、「同じワイン」でもBGMによって、味の感じ方が変わるという実験でしょう。まさか軽いワインを重く感じたりとか、その逆とか、そういうことではないと思います。たぶん。

そして一般的にこれは「雰囲気」という言葉で呼ばれているもので、わざわざ実験しなくても普段の飲食シーンで誰でもが感じてることを、確認したということかと思われます。なぜカルミナと花のワルツが選ばれたのかは、ちょっと気になりますが(花のワルツを15分間エンドレスで流してたのか?)。

>音楽の味覚への影響が文化的なものなのか、音の物理的特徴によるものなのかはこの研究では分からないという。

音の物理的特徴が、味覚や嗅覚に影響を与えるとしたら、すごいと思いますが、どう考えても文化的なものじゃないでしょうか。

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2011年11月 8日 (火)

「ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件」山田正紀

Photo ラストエンペラー愛新覚羅溥儀を擁して満州に傀儡政権をうちたてた関東軍は、昭和13年(1938年)に建国神殿を建立し、祭神に天照大神を迎えることを決めました。そしてその式典にモーツァルトの歌劇「魔笛」を奉納し、あわせて映画に記録することにしたのです。夜の女王を歌うのはヨーロッパで活躍し、三浦環とともに東洋の歌姫として人気を博した中国人のソプラノ歌手、白香花(バイ・シャンファ)。そしてそのオペラの舞台にして神殿の候補地に選ばれたのが、満州の遥か奥地に佇むあの「宿命城(シュウミンツェアン)」だったのです・・・

単行本で682ページ、厚さ4.5cm、重さ870g。お前は聖書か資本論かとツッコミの一つもいれたくなるような堂々のヴォリュームで――しかも最初の5ページはいったい何が書いてあるのか、さっぱり分からず、もう読み始めて数分で挫けそうになります。。。
しかし6ページ目から俄然面白くなり、しかも類例のないユニークな小説なので、この長さにもかかわらずあっという間に読了します。極限まで手の込んだ読み応えのある小説といえるでしょう。

小説は過去と現在を自在に行き来して綴られ、不可解な謎、密室殺人、ダイイングメッセージ、古代文字、そしてオペラのうんちくなどが華麗に散りばめられます。作者の山田正紀(まさき)さんはミステリ、SF、冒険小説などさまざまなジャンルの作品を発表していますが、2002年に発表したこの「ミステリ・オペラ」で、第2回本格ミステリ大賞と第55回日本推理作家協会賞をダブル受賞しました。
この作品はタイトルに『ミステリ』とつくように、本格ミステリの要素が最重要視されていますが、ファンタジーの要素もあるので、読み手によって向き不向きがあるかも知れません。

ただ作品の大枠は本格ミステリであるにもかかわらず、本格ものの常道である犯人が複雑怪奇な謎をしかけ、探偵が知力をつくしてそれを解明するというパターンではありません。謎の解明は出てくるのですが、犯人役が事実上いなくて、探偵役だけがいるような形で終始するので、(人物の造形が浅いこともあって、)なんとなく不満が残ります。
ラストシーンはとても美しいイメージなのですが、にもかかわらず読後感がそれほど良くないのは、その辺が原因してるのかもしれません。

しかしそんなことはともかく、このブログ的には興味の焦点は勿論「魔笛」を満洲で上演するというその設定です。
現実にこのような事態が発生したとして、奉納される芸能として第一に選ばれるのは能や狂言であり、あるいはいっそ京劇とかで、オペラが選択されるということはなかっただろうと思います。仮にあっても「魔笛」はどうでしょうか?ドイツとの関係を考えても、ワグナーの方がふさわしかったのではと思うのが、まあ普通では無いでしょうか。

ところが作者はここに「絶対に『魔笛』でなければならない」という要素を投入してきます。
このオペラ上演を企画した人物は、「魔笛」のザラストロの世界を男性原理の世界、夜の女王を女性原理の世界とし(ここまではありがちな解釈ですが)、それを日本と中国の関係に当てはめたのです。

眠れる獅子である中国は女性原理の世界であり、最後はザラストロ=日本に屈服させられ、男性原理の帝国が打ち立てられる。タミーノもパミーナも日本=ザラストロの正しさに感化され、最後は「五族協和」の理念のもとに大団円が迎えられるのです。
小説ではこれに反発する中国人の勢力なども登場し、色々と事件が起きたりします。

注目すべきはこの大胆な「読み替え演出」で、単に成立しているのみならず、よく批判される「魔笛」の筋の不統一を逆手に取った、というか筋に整合性を見出したとすらいえる解釈ではないでしょか。この場合当然、衣装も日本と中国の服装ということになると思いますが、タミーノの狩衣をどうするか、少し迷うところです。

読み替え演出が流行りだしたのは、70年代ぐらいからかと思いますが、実にその40年も前に満州ではもうシェロー・リングを先取っていたのでした。小説では触れられていませんが、五族協和で大団円ということはおそらく夜の女王一味も奈落に墜ちるのではなく、ザラストロに取り込まれてしまうんだろうと思います。これも80年代あたりに流行った解釈かと思いますが、こっちがずっと先なのです。もちろん本格的なオペラ映画を作るというのもフルトヴェングラーの「ドン・ジョヴァンニ」を遥かに先取っています。

小説では白香花が歌う夜の女王のアリアがSPレコードで何度もかけられますし、登場人物はレコードで聞いて「魔笛」を知っていたりもします。大正期の浅草オペラでは「カルメン」や「リゴレット」「椿姫」それにオッフェンバック作品などが人気を博したようですが、モーツァルトという話は聞きませんし、果たして日本人で「魔笛」を聞いたことのある人はどれだけいたことでしょうか?――と思って少し調べてみました。

調べてみると有名なビーチャム指揮ベルリン・フィルの録音は1937年。当時は録音してすぐ発売されるなどということはなかったでしょうし、ましてや日本に即輸入されるなどというのも考えられませんから、小説の登場人物はこれは聞いてないものと思われます。

一方、序曲だけですとメンゲルベルク指揮の「魔笛」序曲は1930年の録音。これはあるいは日本に入ってきていたかも知れません。
アリアではマリア・イヴォーギュンが歌った夜の女王のアリア2曲は、1925年の録音。これも日本に入ってきてたでしょうね。同じく夜の女王のアリアのフリーダ・ヘンペルによるイタリア語歌唱が1911年。エルナ・ベルガーによる、全曲盤とは別のアリアだけの歌唱のSP録音もあるようですが、録音年代は不詳です。
エリーザベト・シューマンによる「愛の喜びは露と消え」が1923年。同じくロッテ・シェーネによる録音が1930年。
リヒャルト・タウバーのタミーノのアリアが1922年。同じくペーター・アンダースのが1935年。
アレクサンドル・キプニスが歌うザラストロのアリアは1930年録音。エツィオ・ピンツァのが1927年。同じくヴィルヘルム・ヘッシュによるものはなんと1906年の録音。

他にもアリアだけというSPは結構あったようで、全曲盤が手に入らなかった時代でも、部分的に「魔笛」の音楽に接していた人は結構多かったのかも知れませんね。

ところでこの小説はかなり緻密に書かれていますが、バグが二つほどあります。一つは甲骨文字に関してで、これは作者がわざと仕掛けたのかどうか判断がつきません。
もう一つは夜の女王のアリアがレコードで流される所で「アルトが」という記述が一箇所あるのです。これも作者がなにか仕掛けてるのか、単純なミスなのかよくわかりません。

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2011年11月 7日 (月)

大塚さんが急性白血病で入院!

20111107_otsuka 昨日フジテレビが発表したそうなので、すでにご存じの方も多いと思いますが、キャスターの大塚範一さん(63)が、急性リンパ性白血病になられたのだそうです。

フジテレビによると、大塚キャスターは10月末、何げなく自身の首周りを触ったところ、しこりを発見。今月2日から「体調不良」として同番組を休み、病院で検査を受けたところ「急性リンパ性白血病」と診断された。
 現在は都内の病院に入院中で、今後、抗がん剤を用いた化学療法を受けるため準備をしているという。自らの考えで病名を公表して闘病することになった。同局は「今後の番組復帰については、治療経過を見つつ、医師サイドおよび本人と相談して決定したいと思っています」としている。

(スポニチ)

驚きました。
白血病というとオペラ好きはどうしてもカレーラスとヴァレンティーニ=テッラーニを思い出さずにはいられません。カレーラスの場合、急性リンパ性白血病で当時最先端の医療であった骨髄移植を受け、奇跡的回復を果たしました。(ヴァレンティーニはリンパ性ではなく急性骨髄性白血病で、移植の甲斐なく亡くなってしまいました)。

カレーラスが手術したのは1987年のことですから、今から23年前。いまは遥かに医学は進んでいると思います。もちろん今でも急性リンパ性白血病は大変な病気ではありますが、治療によって小児では80%、成人でも60~80%は完全寛解するとのことなので(Wikipediaによる)、大塚さんも再び元気な姿を見せてくれることと思います。

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2011年11月 6日 (日)

日記

20111106_1 今日は全国的にぐずついた天気のところが多かったようですが、仙台もずっと小雨が降り続く一日でした。
実は私、雨や雪の日にでかけるのが好きという、変な趣味を持っています。久々に日曜の一番町に出掛けてみたら、何かイベントみたいな事をやってました。
屋台というか露店がずらっと通りに並んでいて、農産物などを売ってるんですが、いまどきの露店ってなんか凄いオシャレな…

201111062 これは「マルシェ・ジャポン」という農水省の補助事業として行われている住民参加型の市場で、2009年から始まったそうです。野菜、果物、肉などを生産地から直接届けるというのがポイント。全国8つの都道府県で行われていて、東京も六本木、青山・表参道、錦糸町、吉祥寺、恵比寿、汐留でやってるそうですから、買い物された方(あるいは販売した方)も沢山いらっしゃるんじゃないでしょうか。

不思議なのは他の地域はたまにしか実施しないのに、仙台だけやたら熱心で、木曜ないし金曜から日曜まで、毎週ガッチリやってるのです。いったいどうしたんでしょう。
まあ産地で売るよりは、人口も人通りも多い仙台の繁華街で売ったほうが儲かるというだけかも知れませんけど。

20111106_3 それで何故フランス語なのかを知りたくて公式HPに行ってみたんですが、特に書いてありませんでした。

なおマルシェ・ジャポンの壁紙とかスクリーン・セーバーがダウンロードできるページというのがありました。
http://www.marche-japon.org/info/goods/
デザインがなかなか素敵で「おっ!」と思ったんですが、いまどき1920×1080を用意してないというのは少々残念。

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2011年11月 5日 (土)

小惑星が怖いので早く寝ます

20111105 米航空宇宙局(NASA)は4日、直径約400メートルの小惑星が日本時間9日午前8時28分ごろ、月よりも地球に近づいて通過すると発表した。最接近時には月と地球の平均距離の85%に当たる32万4600キロに近づくが、衝突の恐れはない。この大きさの小惑星が地球に接近するのは1976年以来、35年ぶり。接近するのは小惑星「2005YU55」で、濃い灰色をした丸い天体。
(共同通信)

この小惑星は濃い灰色なんですねえ。虹色とかだったらファンタスティックだったのに。なんでも炭素を中心とした成分で出来てるそうです。
それでこの小惑星、残念ながら肉眼では見えないそうです。まあ、残念というかよく考えたら、直径400メートルということは、月の直径が3474kmなんだから、その1/8685。月と地球の平均距離の85%のあたりまで来るとは言っても、肉眼で把握なんてとうてい無理なんですね。

そこまで小さいと引力の影響とかもないのでしょうか?と思って「1976 小惑星 接近 引力の影響」で検索してみたら、なんか 2ちゃんねる とかしか出てこないのです。ん~、あればNASAが発表するでしょうから、きっと無いんですね。

なお、このクラスの大きさの小惑星が次に接近するのは2028年だそうです。私は確実にこの世にいませんが、皆様はどうぞ長生きして、次の接近もご経験ください。

写真は宮城県大崎市。クリックして拡大すると、画面右上の方にUFOもしくは小惑星らしきものが認められます。

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2011年11月 4日 (金)

暴行陵虐!~ニュースの落ち穂拾い Watch What Happens

20111104_yoheinuma 兵庫県警の24歳の巡査が暴行陵虐の疑いで書類送検されたのだそうです。

暴行陵虐!ぼうこうりょうぎゃく…なんか凄そうな罪名ではありませんか。一瞬、西太后とか呂后とかいう名前が脳裏をよぎります…。いったいこの巡査は何を行ったのでしょう。

兵庫県警は4日、交番で勤務中、近くの交差点にいたバイクの男性を暴走族と誤解し、生卵を投げ付けたとして、三木署の男性巡査(24)を特別公務員暴行陵虐の疑いで書類送検し、本部長訓戒の処分にした。県警によると、巡査は、暴走族が走ったような音がしたため外に出たが、走り去っていた。近くの交差点で信号待ちの別のバイク4人グループが空吹かししたため暴走族と誤解。交番前通過の際、男性に生卵1個を命中させた疑い。
(共同通信)

た、た、卵ぶつけた・・・???

なんとも・・・ でもちょっと気になるのは、「なぜこの巡査は勤務中に生卵を持っていたのか」です。やはり暴走族がきたらぶつけようと準備していたのでしょうか?走るバイクにぶつけたんだから、コントロールには自信があったものと思われます。
それともお昼のお弁当に牛丼を食べるつもりで、そのトッピング用だったのでしょうか?だとしたら昼飯はシャビーになるし、訓戒処分は受けるしで、さんざんです。

気になるので、もうちょっと調べてみたら読売にはさらに詳しく載ってました。

発表では、巡査は8月31日午後11時55分頃、勤務している交番前を通過したバイク4台に生卵3個を投げつけ、うち1台を運転中の会社員男性(17)の右胸に1個を当てた疑い。
巡査は昨年9月から交番で勤務、近くを走る暴走族を摘発しようとしていた。当日は、複数のバイクのエンジン音を聞いて暴走族と思いこみ、休憩室の冷蔵庫から生卵を持ち出したという。
巡査は「いつも逃げられていた暴走族と勘違いし、驚かせて止めようと思った。生卵なら、けがはしないと思った」と供述している。

(読売新聞)

読売の記事、ちょっと分かりづらかったので、段落の順番いれかえました。それに文章も変で、バイク4台に生卵3個を投げつけ、うち1台を運転中の会社員男性(17)の右胸に1個を当てた」ではなく、「バイク4台に生卵3個を投げつけ、うち1個を運転中の会社員男性(17)の右胸に当てた」としないと。日本語の文章として、流れが悪すぎて読みにくいったらありません。
それにしても「いつも逃げられていた」というところに、一抹の哀愁を感じないでしょうか。

ま、それはともかくこの「特別公務員暴行陵虐罪」とは、いったいどんな犯罪なのでしょうか?調べて見ました。

これは刑法の195条に規定されてるもので、公務員の職権乱用のひとつのようです。

裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役又は禁錮に処せられる(刑法195条1項)。また、法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、第1項の罪と同様である(刑法195条2項)。

たんなるバイクでの通行人ですから、この場合は「被告人、被疑者その他の者」のうちの『その他の者』にあたるんでしょうね。なんとなく読む限りでは、逮捕した犯人に暴行を加えたとかそんなのを連想しちゃう内容ですけど。

まあ走るバイクに物を投げつけるなどというのは、まかり間違うと大事故を誘発しかねませんから、絶対にすべきではありませんが、それにしても生卵…

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2011年11月 3日 (木)

モーツァルトに大腸ポリープ発見効果?~ニュースの落ち穂拾い Watch What Happens

20111103 米テキサス大の研究チームによる、そんな調査結果が10月31日、米消化器病学会で発表された。
内視鏡の専門医2人を対象に、モーツァルトを聴きながらと音楽なしの計千件以上の検査について分析。ポリープの発見率を、調査前の1年間の実績から計算した発見率と比較した。
その結果、2人ともモーツァルトを聴いたときの発見率は調査前より高くなり、1人は調査前に21%だったのが67%になった。もう1人は27%が37%になった。ただ、この人は音楽なしでも40%に向上しており、調査自体が発見率の変化に影響した可能性もある。
「健康モーツァルト療法」などの著書がある埼玉医科大保健医療学部の和合治久教授は「モーツァルトの中でも高周波数が多く含まれる曲を聴くと副交感神経の活動が高まる。医師は集中力が高まり、患者も消化液の分泌が増えてスムーズに内視鏡の検査ができた結果、ポリープの発見率が上がったのではないか」としている。

(朝日新聞)

ここで言う大腸ポリープの発見率って何のことなのかはよく判りません。
医学用語はよく知りませんが、もしかして「発見率」には二つの使い方があるのかも。

(1)まず検査した人全体のうちポリープが見つかった人の割合を言うケース。つまり発見率20%だったら
ポリープが見つかった人=20%
ポリープはなく健康な人+検査で見逃してしまった人数=80%
となる場合。
ネットで調べたら日本では、この場合の内視鏡での発見率は17%ぐらいというデータがあるようです。ちなみにX線では13%ぐらいの発見率になるようで、差の4ポイントぐらいがX線では見逃されてしまっているということだろうと思います。

(2)もう一つはポリープがある人のうち、内視鏡検査で見つかった人の割合。つまり
ポリープが見つかった人=20%
検査で見逃してしまった人数=80%
で、ポリープ無しの健康な人は数字には入っていない場合。

ここでは医師の発見能力を問題にしてるわけですし、本来なら(2)であるべきですが、でもそんな統計って取れるんでしょうか。内視鏡で見逃して、何で判ったのか?ちょっと無理っぽい気もします。
とはいえ(1)のような計算で発見率67%というのは多すぎるような気がしますから、やはり(2)のほうでしょうか?――でもだとすると今度は調査前21%が、低すぎますよね。検査した人のうち8割のポリープを見逃してるってことですから。う~ん、わからん。

また調査の1年前の数字と比較してるということは、モーツァルト云々以前の問題として、単純にこの人の技量が上がったという可能性もありそうな…

>もう1人は27%が37%になった。ただ、この人は音楽なしでも40%に向上しており、調査自体が発見率の変化に影響した可能性もある。

ええっ!?音楽なしで40%、音楽ありで37%。ということは‥  

??????

それはともかく、私が問題にしたかったのは実は統計の話ではなく、モーツァルトの方です。なぜいつもこういう時ってモーツァルトなんでしょうか?

上記のデータはなんか数字の読み方が分からないし、疑問が多すぎますが、話を進めるためにとりあえず全面的に信用することにいたしましょう。
これは要するにBGMがあると仕事の能力が上がるということだと思いますが、

▼BGMでさえあればよい
▼クラシックが良い
▼古典派が良い
▼モーツァルトじゃなきゃダメ

そのいずれなのでしょうか?そういえば酒蔵でモーツァルトを流してると、ワインだか麦酒だかが美味くなるというのもありましたけど、

ヘンリー・マンシーニやフランシス・レイでは駄目なのか?
ペルゴレージやハイドンでは効果はないのか?
高周波云々という話だが、ザラストロやオスミンのアリアではダメなのか?
モーツァルト以外のコロラトゥーラ・アリア集でもいいのか?
ピリオドよりもモダンのピッチ、それもウィーン・フィルみたいに少しピッチ高めの方が効果があるのか?
などなど色々な疑問が浮かんできます。

とりあえず和合教授の『高周波数が多く含まれる曲を聴くと(中略)消化液の分泌が増え』るというのを信じて、今夜の夕食には「神よ、私の心を」でもBGMにしてみましょうか。さすがに夜の女王のアリアを聞きながら食事ではちょっとね。

※ 画像のうちポリーブの顕微鏡写真は Wikipedia からです。

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2011年11月 2日 (水)

タイの洪水でハードディスクの値段にも異変

20111102_aerial_view_of_lumphini_pa それにしても、こんな物凄い洪水がおこりうるなんて想像もしてませんでした。バンコク東部の工業団地近くも冠水したそうです。

タイの大洪水は2日、首都バンコク東部のバンチャン工業団地に近い運河の排水量を前日から増やしたことから 水があふれ出し、冠水地域が同工業団地の間近に迫るなど被害拡大が続いた。同工業団地は入居83社のうち20社が日系企業。工業団地に隣接する寺院では2 日、一部が冠水。工業団地内では工場の周囲に土のうを積み上げるなど、従業員らが対策に追われた。
(共同通信)

タイが主要生産地の一つであるハードディスク(以下HDD)の値段にも異変がおきています。AKIBA PC Hotline! の調査によると、今日現在での秋葉原でのHDDの値段は1TBが約1万1千円、2TBが約1万3~4千円、3TBが約1万7千円とのことです。

洪水以前は仙台ですら2TBが6千円台で買えましたから、仙台価格と比べてもほぼ倍。秋葉原の最安価格と比べたら倍以上の値上がりになっています。なんとHDD価格を「時価」とする店まで現れたそうです。寿司屋じゃないんだから…

今後の見通しに関しては、タイ工場での生産再開目処が不明なこと、年末の需要期を迎えることから、年内に潤沢になる可能性はまず無さそう。生産再開の見通しについては「数ヶ月単位の時間がかかる」という新聞報道もあることから、長期戦を覚悟したほうがいいだろう。バッファローやアイ・オー・データの外付けHDDについても、既に値上げが発表されている。
 また、ショップブランドPCについては、各ショップとも「当面必要なHDDは確保している」と話しており、HDDモデルがすぐに販売されなくなる、ということは無いようだ。ただし、年内分全てを確保しているとは考えにくく、今後の品薄状態によっては納期が長くなったり、入手困難になるなどの可能性も考えられる。

(AKIBA PC Hotline!)

この状態はほとんどパニックといってもいいかと思いますが、でもどうして?という気が。
確かにタイはHDDの主要生産国の一つではありますが、中国、マレーシア、シンガポールもHDDの重要な生産地です。特に日立GSTなどは、たしかほとんど中国じゃなかったでしょうか(追記:タイにも工場があるが、幸いにも冠水の被害を免れてる地域だそうです)。ある程度の値上がりはやむをえないとしてもパニックになる必要は無いような気がするのです。
まあ Made in ○○ と書いてあってもそれは最終の組み立てがどこで行われたかですから、シンガポール製と書いてあっても、重要部品がタイで製造されているということは勿論ありうるんですけども。

日本得意の最先端テクノロジーで、水を凍らせたり出来ないんでしょうか?タイの沖合に巨大氷河がいくつも浮かぶとか。

※バンコクの写真はWikiからです。

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2011年11月 1日 (火)

クーベリックの「千人の交響曲」~思い出の名盤・42

20111101_kubelik べ~に、べ~に♪

マーラーの交響曲というのはやはりちょっと変で、普通にモーツァルトやブラームスばかり聞いてる耳には、すごく奇妙に響くし、ディテイルでも魚の小骨みたいに引っ掛かってくる箇所が無数にあります。なので、私はマーラー交響曲でなんの違和感もなしに最初からスムーズに聞けたという曲はほとんどないんですが、この8番は唯一の例外です。

この曲を最初に聞いたのは友人から借りたバーンスタインの旧盤(LSO)でしたが、もう出だしから完全に惹きつけられました。初めて聞いた時から100%好きになったのは、8番だけなのです。
私はその頃すでに声楽入りの曲が好きで、宗教音楽なども好んで聞いてはいました。でも曲の初っ端から、オケとコーラスと独唱者(しかも8人も)がいっせいに叫びだす曲なんて聞いたことがありませんでした。
レクイエムは勿論ですが一般的なミサ曲でも、キリエは静かに入ることが多いと思います。ベートーヴェンのミサ・ソレムニスはフォルテで入りますが、でも秩序だってますし、千人の交響曲のようにいきなりパワー全開で歌いまくるというのとはちょっと違います。「カルミナ・ブラーナ」が少し近いでしょうか。でもカルミナは曲の入り口だけで、後は多様な展開ですし、8番の第1楽章のように20分以上もひたすら騒ぎっぱなしでは勿論ありません。

第2部も最初のオーケストラ部分から魅力たっぷり。しかも歌詞が付いてるというのは強くて、他のマーラー交響曲のように、難解だとか、何を言いたいんだろうとか悩まなくてもいいんですよね。歌詞に導かれてひたすら陶酔してればいいわけです。

借りたバーンスタイン盤の次に聞いたのは、たまたまFMの音楽番組で放送したショルティ盤でした。これはショルティとシカゴ響が自他ともにアメリカのナンバー・ワン・オーケストラと認められた頃の録音で、当時大変に話題になったものでした。たしかシカゴ響のヨーロッパ楽旅の途次、ウィーンのゾフィエンザールで録音されたものじゃなかったでしょうか。オルガンだけ別の会場で演奏して、同期させたことでも話題になったように記憶しています。

バーンスタイン旧盤はとても良かったと思いましたし、ショルティ盤もコロとポップが素敵でしたが、LPでの購入は迷うことなくクーベリック盤になりました。
なにしろこのクーベリック盤、私の大好きなマーティナ・アーロヨとエディット・マティスにディートリヒ・フィッシャー=ディスカウ、フランツ・クラスが独唱者として参加しているのです。中でも第2部でまずバリトンが歌いだす所のF=D、そしてグレートヒェンを歌うマティスの素晴らしさときたら…。もちろんプロクター、ハマリ、グローベなど他の歌手も完璧です。

クーベリックの指揮のオーケストラも優れているのではないかと思います。少なくとも私は文句のつけようがありません。まあバイエルン放送響だから上手いのは当然とも言えますが。

実は私はクーベリックという人をあまりよく知らなくて、マーラーの交響曲でも持っているのは8番の他には「大地の歌」のライヴぐらい。それも歌手目当て(ジャネット・ベイカー)で買ったので…
DGアーティストの中ではカラヤンとベームの影に隠れた感じで、二人に比べると存在が地味目に思われてるかも知れませんが、聞いた範囲では音楽作りは決して地味ではないですよね。ドヴォルザークなどの録音を聞いても、歌い方は濃厚だし派手な盛り上げもあって、アバドやセルの民族色を抜いたすっきりしたドヴォルザークが好きな私など、ちょっと敬遠したい感じすら。
いずれにせよこの8番、オーケストラ部分は徹頭徹尾マーラーな音楽をやってると思いますし、フィナーレも壮大で、歌手が違ったとしても名盤になったのではないかと思います。

この後、記憶に残る8番といえば何と言ってもバーンスタインのザルツブルク・ライヴでしょうか。ブレゲンが素晴らしいし、男性3人も凄いです。
ザルツブルクのあと、バーンスタインと公演のメンバーはウィーンに戻って映像収録を行ったわけですが、あまりの暑さにマーガレット・プライスとトゥルデリーゼ・シュミットが倒れて、エッダ・モーザーとイングリッド・マイアーに代わったんでしたね。

生では大昔、小澤さんが新日フィルを振って渋谷公会堂で演奏したのが思い出です。どんな演奏だったかは忘れましたけど…

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