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2012年3月14日 (水)

閉塞感という名の幻想・3

20120314 今日は津波注意報が出てヒヤッとしましたが、10~20センチ程度ということで、大きな被害が出ずによかったです。

さて、先週流れた塾のテキストとして使われるレジュメからは省かれましたが、それ以前に出た骨子にはこんな1文がありました。

夫婦、障害者、事業承継が課題(方策の一例~一定規模の事業で雇用創出をしている場合のみ、事業承継を認める?それとも原則通り一代限り?資産の売却?)

事業承継を認める? 認 め る だぁ?事業を引き継ごうが、継ぐまいがお前らの知ったこっちゃないだろうが!何様のつもりだ、このボケぇ!!たかが大阪ローカル議員どもが!!!
――と、このウルトラ温厚な私でも思わず激昂してしまったわけですが、気を取り直してちゃんと考えてみましょう。

この「事業承継を認める?それとも原則通り一代限り?」というのは、かの『遺産全額没収』にからんでのことであろうと思います。

誰もが考えると思いますが、一番打撃を受けるのは個人事業主でしょう。例えば日本が誇る町工場テクノロジー。たびたびテレビ番組でも取り上げられていますから、日本の小さな町工場の存在が実は最先端技術を支えている、――ということはつまり日本経済を支えているというのは、皆さんもよくご存知だと思います。

事業を継承するということはどういうことでしょうか。こうした町工場で子どもが親の仕事を引き継ぐということは、単に工場の土地や建物を引き継ぐということではありません。若い頃から親と一緒に技術を学び、機械が決して追いつかない、人間だけに可能な――あるいは繊細な日本人だけに可能なと言っても良いでしょう――微妙な勘所を身につけ、共に製品を作り上げて発想力を磨く。事業を継承するということは、資産を継承するだけでも、技術を継承するだけでもありません。精神も継承するのです。

それを絶ち切って国家が工場を没収してしまう、こうした町工場はおおむね東京都や埼玉県、神奈川県などの全国でも最も地価の高い都県にありますから、多少の預金があっても没収された遺産を買い戻すことは無理でしょう。そのそも二代目に引き継げないのなら、大掛かりな設備投資などしなくなります。
橋下氏や維新のメンバーが、日本のハイテク技術がそうした町工場テクノロジーに支えられていることを知らないわけはないでしょう。大量生産で安いものを作るのは今や韓国と中国が担当です。日本に残された道は最先端技術を追求し、中国・韓国には不可能な製品を開発していくしか無いのです。そのベースになるものを、彼らはぶち壊そうとしています。いったい何が目的なのでしょうか?

橋下氏一人だけなら中国とか韓国の息がかかってて、日本の産業を壊そうとしてるんじゃないかなどと疑うことも出来ます。しかし維新には他に多数の議員がいます。彼らはどう思ってるのでしょう?まさかカリスマ橋下の魅力に絡め取られて、思考停止状態になってるのでしょうか?恐ろしいことですが、だとしたら彼らはマジでクメール・ルージュになります。
ネットではすでにオーサカ・ルージュだのナニワ・ルージュだの彼ら維新の議員団を揶揄する表現も流れています。私は言葉の座りから「オーサカ・ルージュ」が良いと思います。それこそ やしきたかじん氏にでも新曲を作ってもらって松井知事と二人でデュエットしてはいかがでしょう「オーサカ・ルージュ」。ユニット名は『徹と一郎』でいいかな。

20120314600_2 何代も続いてきた老舗も終わることになります。
江戸時代からの浮世絵の伝統を引き継ぐ版画の彫り師も、息子に継いでもらおうとしても道具一式没収されます。ついでに家宝にしていた北斎も持って行かれます。
息子がヴァイオリンの天才少年で苦労して親がストラディヴァリを買い与えても、名義は父親のままだったら死ねば没収されます。父親の収入で買ったものを名義変更(生前贈与)すると税金が取られますが、ストラディヴァリだったら贈与税だけで5000万円はとられる可能性があり、よほどの大金持ちでなければ名義変更は無理でしょう、たぶん。
老舗旅館の女将など、そこいらへんのバーのママやホステスぐらいにしか考えてないのかも知れません。
彼らの理屈だと著作権などは完璧な不労所得だし没収して当然と思うかも知れませんが、これだけはTPPがからむので、残るかも知れません。

一番の問題はより新しいレジュメではこれらが隠されていることにあります。最も反発の大きそうなものは巧みに隠し、人気を維持しようとするのであれば――多分そうすると思いますが――それがもっとも危険です。国会で過半数を維持して憲法を変えれば相続税法の改正などいつでも出来るのですから。
(続く)

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コメント

毎日、読んでいて気持ちが悪くなります。きょうのお話までは想像もしませんでした。ほんと冗談じゃないですが、冗談で済まなかったらコワイです。それこそ正体は?!です。肝心なことは隠したりぼかしたりだし、あんまり極端なことは、まさかと思うのが普通の人たちですから、気がついたときには時すでに遅しになるってことなんでしょうねぇ・・昨日の記事に並んでいた項目だって、自分には関係ないって思ちゃう人が多いんじゃないかと思います。例えば、単純に考えて、私だって相続するものも相続させるものもないとか、TVの宣伝見てるとどうも健康保険より民間の医療保険のほうが安くてよさそうだとか、公的年金は当てにならなさそうだから、個人年金の保険に入ったほうがいいとか、生活保護なんて私には関係ないとか、思ってる普通の人、少なくないんじゃないでしょうか。その辺が落とし穴になるんじゃないかと思います。

投稿: edc | 2012年3月15日 (木) 10:52

euridiceさん

もう私も書いててクラクラしてくるんです。どうしてこの人達ってこんな変な考えが次々と浮かんでくるんだろうと。橋下市長一人の頭から浮かぶんだったら分かるんですが、ブレーンだっているでしょうし、まわりの議員は普通の人達だと思うんですよね…
彼を積極的に支持してきた堺屋太一氏など、この八策骨子に対してどういう感想を持ってるのか知りたいものです。

たしかに日の丸・君が代だって関係ない人が殆どですし、保険・年金とかも今の制度は破綻するかも知れないという不安がありますから、落とし穴ですよね…
生活保護も普通の人にはまったく関係ない話ですもんね。不正受給してるひとがいて膨大な税金が注ぎこまれていると聞けば、だったらやめちゃえという気になるのは全然おかしくないですよね。真面目に働くよりも生活保護のほうが金額多いわけですから。
しかし、であるなら問題のある部分を是正するというのがまともなやり方で、その手間を省いて(実際に在日の生活保護費問題を解決するのはかなりの困難を伴うというのは分かるにしても)一気にシステムを変えてしまうというのは、まったく乱暴でお話にならないと思います。しかもそのシステムを変えた結果が日本国中焼け野原が確実なわけですから。

投稿: TARO | 2012年3月15日 (木) 14:09

同感です。
>問題のある部分を是正するというのがまともなやり方
私もそう思います。どうしてこういう風に考えない風潮がはびこるのでしょうか。こういう空気をつくりあげていく何かがあるのでしょうが、それがわかりません。

コイズミのユウセイにも、つくづく思ったんですけど、制度をぶち壊したらよくなるという感覚が理解できません。

やっぱり閉塞感が凄いんでしょうかねぇ・・

>塾のテキスト
が実現なんてことになった時には
私も亭主に先立たれた場合、路頭に迷いそうです・・


投稿: edc | 2012年3月15日 (木) 17:41

euridiceさん

今の日本の最大の問題は経済的な停滞ですが、経済学者によればそれについては個々の問題解決で十分に手当できるらしいんですよね。基本的には円高を是正することと(最近は80円台を取り戻してホット一息のようですが)、デフレを解消することで、政府がその気になればやれるんだと言うんですが。私は経済学には全く無知なので、それが絶対に正しいかどうかは分らないんですけども、でもやれるんならやるべきだと思うんです。実際、素人考えでもゆるやかなインフレ傾向に誘導することなど、簡単じゃないかとおもうんですが…

今の制度があるから、世界第3位の経済大国で居続けられるわけで、制度をぶち壊して今より良くなるという考えは、本当に理解できません。
1年に一つずつ大きな問題を解決していってたら、例えば2002年から始めたとしても、既に10の重要案件が解決できてたのに。

>私も亭主に先立たれた場合、路頭に迷いそうです・・

うわ。東北で路頭に迷うよりは寒くないだけましですが、でも東京で路頭に迷うのはあの暑さが厳しそうですねえ。。。。

投稿: TARO | 2012年3月15日 (木) 22:46

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