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2012年5月21日 (月)

フィッシャー=ディースカウの名盤(2)絶対的な価値を持つかけがえのない名盤

20120521_dfd 金環日食、ごらんになられたでしょうか?私はいま睡眠が変で、今日もどうしても起きられず、まあ昼ニュースで見ればいいや、どうせ仙台は部分日食だしなどと思い、さぼってしまいました。

さてフィッシャー=ディースカウには駄盤はないわけですし、特にドイツ・リートの録音はすべてが他のお手本になるようなものばかりですから、ある意味「かけがえのない名盤」だらけと言えます。その中でも特に未来永劫これを凌駕するものは無いだろうとすら思えるものを集めてみました。
最初に上げたいのはリートではなく、これです。

リヒター指揮のバッハ「マタイ受難曲」1959年録音(バスのアリア)。
59年といえば声も技術もすべてが自由自在であった時期でしょう。いわば心技体が最高レベルで一致している歌唱が聞けます。
私にはこの歌唱の素晴らしさを形容する言葉が無いのですが、幸いYouTubeにあげてくれてる人がいました。こちらです。

リヒターはご存知のようにその後80年に「マタイ」を最録音していますが、残念なことにと言うべきなのかどうか判りませんが、フィッシャー=ディースカウはイエスにまわっています。バスのアリアはサルミネンが歌ってるのですが、完全なミス・キャストでした。
(そういえば、私もバリトンなので昔よく真似をしてレコードと一緒に歌ってたのですが、もちろん到底真似など出来ませんでした。)

フルトヴェングラー指揮の「トリスタンとイゾルデ」(クルヴェナール)。
完璧なクルヴェナール。このクルヴェナールという人物の深層心理までをここまでも深く抉った歌唱はないと思われます。好みからいくと実はバーンスタイン盤のヴァイクルが好きですが。
ディースカウはカルロス・クライバーの全曲録音にも参加していて、ここではさらに凄みのある歌唱を聞かせてはいます。でもこちらはトリスタンよりもマルケ王よりも格調高くて貫禄のあるクルヴェナールになっていて、それってどうなの?という感じが…

ベーム指揮の「亡き子をしのぶ歌」
これも誰の歌で聞いても、FDを思い出して不満を感じてしまうという困った名盤です。プライですらそう感じてしまいました。

ムーアとの「美しき水車屋の娘」。

この曲集にはプライの名盤がありますし、シュライアーを始めとするテノール歌手による優れた録音も数多くあります。なのでこれに関しては必ずしもフィッシャー=ディースカウの録音が絶対的ということではないんですが、でもやはりかけがえのない価値を持っていると思います。これは好みの問題かもしれませんが、私が好きなのは録音の古いEMIのもの。何と言っても声が若々しいというのはこの曲集には大事なことだと思うので。

何種類もある「冬の旅」。
もちろん「冬の旅」といえばフィッシャー=ディースカウです。戦前のヒュッシュ、その後のホッターと「冬の旅」歌いの系列につながりながら、全く新しい歌唱を創造したフィッシャー=ディースカウ。「水車屋」と違って、この曲はどうしてもフィッシャー=ディースカウを聴いてしまうともう駄目、他の人は聞けない症候群に陥ってしまう最右翼なのです。

でもいったい何種類あるんでしょう?
ジェラルド・ムーアとだけでもEMIに2回(55年と62年)、DGに1回(71年)録音してますし、デムス、バレンボイム、ブレンデル、ペライアとも録音しています。正規のCDになってないものではポリーニとのライヴもありますし、40年代に録音したものもあるのだそうです。
私は初期のものとEMIのムーアとの録音のうち古い55年のもの、それに最後のペライアとのは聞いてないんですが、あとはポリーニ含めて全部聞いてると思います。でもどれがいいのかはわからないですね。とりあえずムーアとのものならEMIでもDGでもどちらでも良いんじゃないかと思います。

「白鳥の歌」のハイネ歌曲集。
日本では60年代~70年代にはこの「白鳥の歌」は、ホッターの評価が高かったように思います。またレルシュタープの詩による歌曲はプライの評価も高く、実際に叙情的で美しい歌唱でした。
でもハイネ歌曲になるとやはりフィッシャー=ディースカウ。このハイネ歌曲の部分だけは「白鳥の歌」としてではなく、シューマンと組み合わせたプログラミングでフィッシャー=ディースカウはよく取り上げています。エッシェンバッハともやっていますし、日本ではヘルとやっています。
「白鳥の歌」としてのCDはやはり複数種あります。50年代にEMIに録音したもの(モノラル)を集めて、「白鳥の歌」として出したものが多分一番古いんじゃないかと思いますが、私は聞いてません。
その後EMIとDGにそれぞれジェラルド・ムーアと録音していますし、フィリップスにはブレンデルとの録音もあります。どれでもいいかなと思います。これは投げやりなわけではなくて、決められないのです。

(この項続く)

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コメント

突然のコメント、失礼いたします。NHKに番組リクエストのサイトがあり、100名の賛同があると再放送を検討してもらえるそうです。私はプライが水車小屋の娘全曲を歌った1997年8月の芸術劇場をリクエストしました。もしできましたら、賛同をおねがいできませんでしょうか。
賛同の方法はNHKの「お願い編集長」というページで、「お願い!検索」で「プライ」と入力して検索していただき、リクエストのページに入りますと、Eねボタンがありますのでクリックしていただくようになります。
(あるいはhttp://www.nhk.or.jp/e-tele/onegai/detail/4715.html#main_section)

伴奏者の名前など不明ですが、私は大変感銘を受けた放送で、YouTubeなどで探しても見つけられず、CD・DVD等はでていないかと思われます。
どうぞよろしくお願いいたします。

投稿: maru | 2012年9月 7日 (金) 21:50

maruさん、こんにちは。

大変申し訳ありませんでした。
ずっとブログを休んでいたので、コメントに気がつかず、残念ながら間に合いませんでした。
すみませんでした。

投稿: TARO | 2012年10月 3日 (水) 22:18

55年ころの録音の「冬の旅」で、ムーアとの共演ではない演奏のCDがあります。少しハスキーな感じで表情オーバーな60年代や70年代の名盤のディースカウよりも、声はもっと若々しく、もっと淡々としいて深みのある歌い方です。ヘッドホンなどで聴くとよくわかります。

投稿: 亦復如是 | 2016年2月17日 (水) 10:41

モノラル時代の歌唱が特にすばらしく、あまり表情をつけずに歌っています。ヘッドホンで聴くとモノ時代の声のすばらしさが一層よくわかります。

投稿: 亦復如是 | 2017年6月14日 (水) 15:10

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