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2012年5月24日 (木)

畑中良輔さんが死去

20120524shinkokuritugekijou フィッシャー=ディースカウの名盤が途中ですが、なんとまたもや訃報です。

声楽家・音楽評論家で新国立劇場の初代の芸術監督もつとめた畑中良輔さんが肺炎のため亡くなりました。90歳でした。

日本のオペラ振興に貢献した声楽家で音楽評論家の畑中良輔(はたなか・りょうすけ)さんが24日午後0時2分、肺炎のため東京都三鷹市の病院で死去した。90歳だった。北九州市出身。自宅は東京都杉並区今川2の2の7。葬儀は近親者で行い、後日お別れの会を開く。喪主は長男貞博(さだひろ)氏。
 1943年、東京音楽学校(現東京芸大音楽学部)声楽科を卒業。47年から各地で独唱会を開いた他、藤原歌劇団の「ドン・ジョヴァンニ」日本初演などに出演、バリトン歌手として活躍した。93~99年、新国立劇場運営財団の初代芸術監督として同劇場のこけら落としに尽力するなど、日本のオペラ振興で中心的役割を果たした。
 作曲も手掛け、「畑中良輔歌曲集」を刊行。日本音楽コンクールの審査委員や日本演奏連盟常任理事、東京芸大教授なども務めた。2000年文化功労者。日本芸術院会員。著書に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した「オペラ歌手誕生物語」がある。 

(時事通信)

畑中さんは記事にもあるように戦後すぐバリトン歌手として活躍しましたが、私はもちろん畑中さんの歌手時代というのは、(本人の著作以外では)知りません。私にとっての畑中良輔氏はあくまでも評論家として、それもなんといっても「レコード芸術」誌の〈声楽曲〉部門の評者としてでした。

音楽の聞きはじめ=音楽雑誌の読みはじめというのは、「誰が批評を書いてるか」などというのは全然気にせず、おおむね雑誌に書いてあることをうのみにするんじゃないかと思います。(もちろん子供の頃から自分をしっかり持っていて、どんな雑誌記事でも批判的に読む人もいるとは思いますが。)

なのでどうしても批評に影響されてしまうわけですが、でも徐々に自分の感想と批評との間に齟齬が出てくるようになり、やがて評論家の名前が気になり、自分に合う評論家、合わない評論家というのが出てきます。

「レコード芸術」でオペラを担当していた高崎保男さんなど、もちろんオペラに関しては最大級の教養の持ち主ですから随分勉強させてもらいましたが、いろんなレコードを聞いていくうちにどうしてもあわなくなってしまいました。そうなると結局、作品がどのようなものかを勉強するという読み方になってしまい、演奏の批評部分はあまり読まなくなってしまいます。

そういう意味で、畑中さんは「レコード芸術」の執筆陣の中では最も違和感の少ない人でした。なのでたぶん私にとって音楽の聞き方に関して最後まで影響を受けた評論家の一人と言えるのかも知れません。歌い手に対する愛情が、つねにその批評の基本にあった方だと思います。

ご冥福をお祈りいたします。

※写真は新国立劇場のロビー。Wikipediaから。

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