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2012年6月 1日 (金)

フィッシャー=ディースカウの名盤(4)モーツァルト、ワグナー、R・シュトラウスの名盤(前)

20120601_dfd_2 モーツァルトは勿論、フィッシャー=ディースカウの得意分野でした。特に「フィガロの結婚」の伯爵役は十八番で、シュワルツコップと共演したライヴとかも出てますし、映像も含めるといったい何種になるものやら。特にベーム指揮のDG盤は誰もが認める永遠の名盤となっています。他のキャストも完璧で実によくキャラクターを表しており、これに慣れるとこのベーム盤以降に現れた全曲録音はいずれもなにか薄味に感じてしまいます。
ケルビーノのトロヤノスに違和感を覚える人もいるようですが、ちょうどこの録音が行われた時期はルードウィヒは既にレパートリーからケルビーノを外し、ファスベンダーとフォン・シュターデは国際的に有名になる前ということで、他にいなかったのだからしょうがありません。後に「ティト」の録音に参加するベルガンサは、この段階ではベーム・ファミリーではなかったですし。

この夢のベーム・ファミリーを「コジ・ファン・トゥッテ」で実現したのが(少し入れ替えがありますが)73年のザルツブルグ音楽祭での上演で、ヤノヴィッツ、ファスベンダー、グリスト、シュライアー、プライというキャストで、フィッシャー=ディースカウはドン・アルフォンソを歌いました。ただ残念なことにこの「コジ」のドイツ・グラモフォンによるライヴ録音は、2年目の上演がライヴ録音され、他のキャストは一緒なのにアルフォンソだけがフィッシャー=ディースカウからパネライに代わっています。もっとも初年度のライヴもNHKから放送はされていますので、秘蔵のテープ化してる人は多いかと思われます。

「ドン・ジョヴァンニ」と「魔笛」もベームの指揮でDGに有名な録音があります。このうち「魔笛」のパパゲーノはあまりにも知的すぎるということで、よく批判の対象になったりもします。フィッシャー=ディースカウは舞台ではこの役を歌わなかったそうですが、この歌唱を高く評価する人も少なくありません。で、実は私もここでのフィッシャー=ディースカウの歌はかなり好きです。ヒット曲揃いのこのオペラの中でも最も美しいページであるパパゲーノとパミーナの二重唱など、パパゲーノのキャラクターを考慮しなければ、やはりフィッシャー=ディースカウの歌にはゾクゾクさせるものがあります。
このベームの録音もショルティ指揮の「魔笛」が発売されるまでは、決定盤扱いされていました。ショルティ盤はプライのパパゲーノとドイテコムの夜の女王という二人の超弩級がいるので、いまだにこれを「魔笛」のベストに上げる人がいますが、私はちょっと疑問です。プライのパパゲーノは二度とこれを超える人はいないと思わせるほどに最高ですが、プライ&ドイテコム以外のキャストはベストというわけではないし、オーケストラ部分にも特に惹かれるものはありませんでした。ただしこの録音の中に脇役ですが、もう一人超弩級が歌っています。パパゲーノではなく弁者役として参加したFDです。

ベーム指揮「ドン・ジョヴァンニ」の旧盤は前にも書きましたが、私にとっては何かと思い出と思い入れのあるレコードです。この録音でよく批判の対象になるのはドンナ・アンナのニルソンとタイトル・ロールのフィッシャー=ディースカウですが、もうこの二人が魅力的なのです。他の二人のソプラノも私の好きなアーロヨとグリストですし、まとまりはベームの新盤のほうが良いかもしれませんが(ウィーン・フィルですし)、個々の歌手陣の魅力はこちらのほうが上かなと思います。

そういえば、フィッシャー=ディースカウはモーツァルトの未完のオペラ「カイロの鵞鳥」のフィリップス盤の録音にも参加しています。シュライアー指揮のもので、私はこれしか聞いたことがないので他の演奏と比較してどうこうは言えないんですが、とても良い録音だと思います。演奏がどうこういう以前の問題として曲が素晴らしく、さすがに未完とはいえK422という番号がついてるだけのことはあります。
(続く)

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