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2012年12月31日 (月)

この1年

20121231_jozenji1 あと2時間ちょっとで、今年も暮れようとしています。いまごろテレビでは紅白歌合戦など、やっているんでしょうか。そういえばもう何年も見たことありません。

去年は史上最悪の一年が過ぎて新たな年に変わるのが本当に嬉しかったのですが、今年はそうですねぇ…。別に重病なわけでも、いますぐ死にそうなわけでもないのですが、正直言って「また1年生き延びてしまった…」という気持ち。少し鬱傾向にあるのかもしれません。病気になる前の私は鬱とか悲観とか落ち込みとかとは全く無縁だったので、滅入った時の対処の方法をまったく持っていないんですよね。五十数年間、明るく暢気に生きてきたツケがいまドッと…

さて、今年は音楽関係だけに限っても多くの著名な方々が亡くなりましたが、中でも畑中良輔さんと吉田秀和さんという二人の評論家の死去は、やはり時代の終わりを感じずにはいられません。

また先週入ってきたニュースですが、今月16日にNHKの音楽番組などでもおなじみだった中野博司さんが亡くなられたそうです。

中野博司氏 78歳(なかの・ひろし=元慶応大学教授)14日、肺炎で死去。告別式は近親者で済ませた。喪主は妻、幸子(さちこ)さん。
 西洋音楽史が専門で、日本のハイドン研究の第一人者としてドイツ・ケルンのハイドン研究所理事を務め、NHK音楽番組の解説者としても活躍した。著書に「ハイドン交響曲」など。

(読売新聞)

ご冥福をお祈りいたします。

政治・経済・社会の分野ではもちろん総選挙が今年の最大の話題といって良いのでしょう。自公については予想通りでしたが、維新が比例であれほどの票を集めたというのは、私には非常な驚きでした。

他党からの批判で後に撤回しましたが、最低賃金の廃止など維新の方針は格差の拡大を明確に政策に打ち出しています。過酷な競争社会による一部の勝者と大多数の敗者という図式は、すぐお隣りの国に財閥だけが肥え太り一般の国民は多額の借金や高い失業率(※)にあえいでいるという例があり、それを私はグローバリズムの餌食になった見事な失敗例と思っていたのですが、過去にこのブログで見てきた政策も合わせて考えれば、維新はなぜかそれを失敗例ではなく成功例と考え、目標としています。

(※ 韓国の失業率は日本などとは全く計算方式が違う独自のもので、なんとニートは数字に含めないのだそうです。政府が発表する公式の失業率は3%台ですが、民間研究機関と統計庁が別に計算した「事実上の」失業者は13%近くになるのだそう)

誰が何を主張しようと、どの党がどんな主張をしようと思想・言論は自由ですし、それ自体は勝手なわけですが、私が驚愕するのはそれを人々が支持するということです。1年前ならまだ判ります。橋下氏の実績として挙げられていたのは公務員叩きと国旗・国歌条例だけでした。何か改革者のイメージを持たれていたのかもしれません。しかし選挙の時点では維新の政策は十分に知られていたのではないでしょうか?

3年前の民主党のように絵に描いた餅を並べ立て、後で撤回につぐ撤回というのであれば、有権者が騙されるのもやむを得ないかもしれません。嘘つき呼ばわりされるのも当然でしょう。でも維新は明確に競争社会・格差社会を(すなわち暗に韓国のような国民総不幸社会を)志向しますよと打ち出しているわけですから、それを支持する有権者があれほど数多くいたのだと考えるしかありません。恐ろしいことです。

また橋下徹氏個人についても、口が達者なだけの中身の無い人、その政治手法は示談弁護士そのものというのも十分に知れ渡ったと思います。竹島共同管理発言など典型的な示談弁護士の考え方でしょう。
彼の弁護士的やり方は、クライアントの意向を十分に踏まえて、最もクライアントが利益を得るような方法で折衷案を探っていくというのがパターンだと思いますが、政治は示談交渉ではありませんから、それが有効に働くときもあればそんなやり方が許されない時もあります。そこがどうも分かってないのですね。

そして仮にそのような方法論を認めるとしても、橋下氏の一番の問題点はクライアントが市民ではないことだと思うのです。普通なら選挙で選ばれた首長なのだから、クライアントとは大阪府民なり大阪市民なりと考えるべきだと思うのですが、彼の考えはそうではありません。有権者については「選挙で選ばれたのだから白紙委任」であって、全面的に市長のいうことに従えと。クライアントとは市民ではなく、どうやら彼の政治活動を支える企業や団体(マルハンであったりソフトバンクであったり)がそうであるらしいということが問題だと思うのです。まあその手の企業とどの程度濃い繋がりがあるのかということについては、私なんかが知る由もないのですが…

そしてそれでも橋下徹を支持する、期待するという人があれほど多かった…クラクラしてきます…

う~、なんだか維新について書き始めるとついムキになって止まらなくなってしまいました。大晦日だというのに。

20121231_jozenji2 画像は師走恒例の「光のページェント」。青葉区定禅寺通りの写真です。昨年は沿岸部の倉庫に保管していたイルミネーションが津波で流されてしまい、全国からの助けでようやく開催できたんでした。ことしは自前で用意できたようです。ページェントの点灯式は、れいのアウターライズ地震が起きて津波警報が出された、7日の夜。仙台放送が点灯式の中継番組を流して、「まだ避難してる人がいるのに」と、ネットの批判を浴びていました。

仙台の街は震災前とずいぶん変わって来ました。市の中心部は新しいビルが立ち、華やぎを取り戻しています。宮城野区では、赤紙マンションの取り壊しも進み、更地になった住宅地も増えました。先日の地元紙によれば、被災者の生活再建は全然進んでないとか。

2013年は宮城全体も私個人も、元気に活動できる一年になってくれると良いのですが。
それでは皆様この一年本当にありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎え下さい。

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コメント

明けましておめでとうございます。
こちらはまだ新しい年まで5時間近くあります。
大晦日に自主的に外出する習慣はないんですが、今年は初めて郊外で新年を迎える予定です。

中野さんにはアナリーズの基礎、古典派音楽における形式、マーラー、ブルックナーなどを手ほどきして頂きました。
「ヴァルトシュタイン」のアナリーズをやった後、レコード10種類聞き比べなんていう楽しい授業もありました。ケルンの街中でばったり出くわしたこともあります。
思い出す片言は、最初のミュンヘン留学の1年目「日本では聞けないものを聞こうと思いオペラを300公演見た」こと、「人の紹介でようやくデッラ=カーザに会えて握手した手を洗わなかった」こと、81年のスカラ日本公演の「オテロ」初日の翌日「ミュンヘン時代ダメな上演がいかに多いかを思い知らされたが、昨日みたいなあんなことは10年に一度しかない」と仰っていたことなどです。
定年退職前からそれこそ鬱病がひどくなっていたと人づてに耳にしました。
ご冥福をお祈りします。

こちらでは尖閣問題の報道度が高いので、総選挙結果は専ら「ナショナリストが政権獲得」「右傾化」という視角で報じられていました。ルモンド紙見出しは「日本の反中投票」、フィガロ紙は「コンプレックスなきナショナリストが政権に」といった感じ。
安部の強硬姿勢は維新を封じ込めるための選挙対策で、現実の施政では穏健化するだろうという但し書きも強調されてましたが。

維新もナショナリズムの波を一部は享受したと説明され、橋下は石原と並べて「ポピュリストでナショナリスト」と紹介されている程度でネオリベラル的側面などはまるで報じられていません。

ルモンドのポンス特派員だけは前触れ記事で、非正規雇用の増加と格差社会の敗者拡大、そうした敗者層を中心に特に福島事故をきっかけに大企業と癒着する既成政治への不信が高まり、より個人的な新しいタイプの異議申し立て行動が表面化しているが、そうした動きは投票すべき政党を見出しかねていることを指摘して、そうした社会的変化こそが日本政治の変動の理由としていました。
私が気になるのはそうした「敗者層」の若者たちで「反中・反韓」壮語に感応する人がどれくらいいるのかということですが。いわゆる「ネット右翼」とこの層は重なってるんでしょうか。

投稿: 助六 | 2013年1月 1日 (火) 03:20

助六さん

そうだったんですか…
中野博司さんは恩師の一人でいらしたんですね。
しかも何という興味深い講義だったんでしょう!

安倍首相については、国内ではナショナリスト的側面とそれによる政治の右傾化というのは、現時点では重視されてないかと思います。何よりも経済政策に注目と期待が集まっていると思いますし、夏の参議院選までは経済にポイントを絞り、その他の特に外交の課題への対応はわりと穏健なものになるんじゃないでしょうか。

「安倍さんは昔と違う、大きく成長した」という見方があって、実際に彼が総裁選出馬を表明した時には、持論の憲法改正などを脇においても、まず《インフレターゲットを2%に定めて日銀に金融緩和を促す》というのを強く打ち出しました。そのへんは最も重要な課題が何かをわきまえることも出来なかった前回の首相就任時とは違いました。それを聞いた時には私も、これは言われるように大きく成長したのではないかという感触を持ったのですが… 残念なことにすぐに日銀法改正だの際限ない量的緩和だのと言い出して、首をかしげざるをえないことになっています。まあ、それは選挙用のキャッチフレーズにすぎないのかもしれませんが。

それにしてもポンスさんはさすがですね。

>そうした「敗者層」の若者たちで「反中・反韓」壮語に感応する人がどれくらいいるのかということですが。いわゆる「ネット右翼」とこの層は重なってるんでしょうか。

重なっているというか、その一部がいわゆるネトウヨなんだと思います。
敗者層の若者たちでリベラルというのは聞いたことがありませんが、右傾化してる若者は相当数いるのではないかと思います。2ちゃんねるなどのネットを見ていてそう感じる他に、若い人と喋っていると、ごく普通の青年が中国・韓国に対する激しい嫌悪感を示すことは決して珍しいことではありません。それも政治的な話など一言もしてない時でもです。
こうした若者のうち、ある種の過激さ・極端さを持っていて、かつネットの書き込みで自己表現したがってるのがネトウヨなんじゃないかと思っています。

そしてこれは私だけの感触で、メディアでそういう捉え方をしてるところはないと思いますが、ネトウヨは意外にも情弱ではありません。ですから維新の新自由主義的政策も十分に知れ渡っており、維新の支持はネトウヨの世界では完全に失われてしまったという印象を私は抱いています。もちろん数字的な根拠のないただの印象なので間違ってるかもしれませんが。

投稿: TARO | 2013年1月 1日 (火) 23:02

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