著作権

2011年12月20日 (火)

ウィニー開発者の無罪確定!

20121220 これは昨日19日付の決定のようですが、ファイル交換ソフトの「Winny」を開発した元東大助手の金子勇さんの無罪が確定しました。

ファイル交換ソフト「ウィニー」を開発、公開し、違法コピーを容易にしたとして、著作権法違反ほう助罪に問われた元東大助手金子勇被告(41)の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は19日付で、「多数の者が著作権侵害に利用する可能性が高いと認識していたとはいえない」として、検察側上告を棄却する決定をした。一審の有罪判決を破棄し、ほう助罪成立を認めず逆転無罪とした二審判決が確定する。
(時事通信)

この事件は一審判決が出されたときにも取り上げましたが、二審で逆転無罪になったときには、ブログを休んでいる時だったので、ここで事件と裁判の内容をごくかいつまんで振り返ってみたいと思います。

この「Winny」は、P2P方式を利用したファイル交換ソフトで、一時大流行しました。
このプログラム自体は数あるP2Pソフトの中でも、匿名性やファイル共有の効率の良さなどで、当時としては極めて優秀なものと位置づけられていました。

しかし、
コンピュータ・ウィルスに感染したPCから、企業や官庁の機密情報・個人情報が Winny のネットワークに流れでてしまう不祥事が続発したこと。
著作権団体が Winny があたかも著作権侵害の元凶であるかのような印象を与えようと努めたこと。(「Winny による著作権侵害の被害額は、6時間で推定約100億円にのぼる」などという発表をしたことがありましたが、これについても過去に記事にしました。)

などから Winny の存在そのものが社会問題化していきました。
事件が起きたのは2003年のことで、Winny によって違法なファイル交換をしていた二人が捕まり、それに関連して翌年5月、この「Winny」というソフトを作った金子勇氏も幇助の疑いで(著作権法違反幇助罪)逮捕されてしまったのです。

これは非常に問題のある逮捕でしたが、一審の京都地裁は、「著作権侵害をしても安全なソフトとして広く利用されていることを知りながら、不特定多数に入手可能にした」として、金子氏に罰金刑(150万円)を言い渡しました。この一審判決については過去に記事にしています。

その時も書きましたがこの京都地裁の判決は、「金子被告に著作権侵害助長の意図はなかったことは認定され、Winnyの技術が有用であり、価値中立的であることも認めた」にもかかわらず有罪という、非常にわかりにくいものでした。

双方が上告しましたが、二審大阪高裁は2009年9月「ソフトの提供者が著作権侵害の幇助と認められるためには、ソフトの利用状況を認識しているだけでは条件として足りず、ソフトの主要な用途として違法行為を勧める形でソフトを提供していることが必要だという条件を示し、金子氏はこれにあたらない」として、一審判決を破棄。逆転無罪を言い渡していました。

ということで今回のニュースにつながるわけです。詳細にお知りになりたい方は、Internet Watch に詳しい記事が載ってますので、そちらを御覧ください。弁護団長のコメントを引用しておきます。

「本件は、Winnyの技術や価値を全く検討せず、偏見で捜査を進め、立件した事件であり、2004年の逮捕から7年以上経過しており、失われた7年という期間は、金子勇だけでなく我が国のソフトウェア技術者にとって非常に大きな損失でした」(中略)
「警察、検察が基準のあいまいなところに乗り込んできた。こうした姿勢については猛省を促したい」として、捜査を行った京都府警についても「ハイテク犯罪対策室ができたことで、手柄を立てようとする勇み足がなかったのかということを考えなおしてほしい」と指摘。報道機関に対しても、捜査段階では金子氏に対する正しい評価が得られなかったとして、事件全体についてもう一度検証してほしいと訴えた。

※最高裁判所の写真は Wikipedia より

| | コメント (0) | トラックバック (0)